橋本裕の日記
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通勤の途中、名古屋駅でJRから地下鉄に乗りかえる。そこで、2時間ほど早めに家を出て、名古屋駅の地下街にある「三省堂書店」に立ち寄ることがある。そして、書店の隣にある「BOOKS & CAFÉ」という喫茶店に、書店の本を持ち込んでゆっくりと読む。
コーヒーが一杯450円と高いが、まずまずの味である。そして何よりも、書店の本を何冊でも無料で読めるというのがよい。本を読んでいるのは、若い女性が多いので、目の保養にもなる。好きな本に熱中している人たちの満ち足りた表情はなかなかよいものだ。
静かで読書には最適な環境である。しかしたまに空気が読めない客が侵入することがある。おしゃべりをやめない中年の女性たちだ。こういう日は、厄日と思ってあきらめるしかない。
その三省堂の喫茶店で読んだ本のなかに、加島祥蔵さんの「求めない」という詩集がある。店頭に山積みされているのは、人気があるからだろう。「求めない」という書き出しのシンプルな短詩からできた素敵な詩集だ。
求めない すると 簡素な暮らしになる
求めない すると いまじゅうぶんに持っていることに気付く
求めない すると いまもっているものが生き生きとしてくる
求めない すると それでも案外生きてゆけると知る
(略)
求めない すると 自由を感じる
簡にして要を得た、それでいて味わいの深い詩だ。現代人は余計なものを求めすぎている。そしてその「求める心」にふりまわされている。「求める心」を捨てれば、私たちはもっと自由になれる。そして心が澄み、美しいものが見えてくる。
(今日の一首)
人生を手ぶらで歩く そうすれば 空の青さが心にしみる
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