橋本裕の日記
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2007年10月31日(水) 10月の短歌

 10月は学校では文化祭などがあり、忙しい日々であった。しかし、9月の猛暑が嘘のように過ごしやすいひと月だった。それは日々の短歌を読み返しても感じられる。散歩にも一番良い季節である。これから次第に寒くなるが、木曽川堤の紅葉が楽しみだ。

いつのまにサンダル寒い散歩道歩けばゆれる秋の草花
 
衣替えわれも今日より長袖で河原歩けばこころも秋色

あきあかね我を追い抜き振り返る大きなまなこモノ問いたげに

稲の穂の黄金に熟れてほのかなるかをりただよふ野中の小径

美酒のごと心に薫る旅の歌海の青さよ砂の白さよ

大空をはるばるとゆく白鳥のすがた爽やかこころ慰む

初秋の河原にそそぐ日のひかり小石の影も鮮やかに見ゆ

銀の鈴あたえし娘は今もなお海底深く闇に眠れり

コスモスのゆれる畑にモズがきて高らかに鳴く秋は来にけり

人生はたのしむものなり憂き世さえ生き方変えればしあわせの園
 
たのしみは日記書き終え青白き障子の明かりなにげに見るとき

なにごとも控えめがよし減食で心身かるくこころも虹色

病得てはじめて分かる憂きことを忍んで耐える人のつらさを

この社会勝者はみんなサイコパスまともな人は心病みをり

めずらしくワインを飲んで人生に乾杯をする妻と二人で

人生の伴侶と慕う書を捨てるその寂しさを誰に語らん

幼さにいつも少女とたわむれてある日気がつくからだの違い

原発にたよらず生きる港町駄菓子屋もあり人のぬくもり

数しれず辛きことあり壊れたる人の心に風吹きつのる

死にたくてならぬ時あり家を出て道端の花そっと見てみる

モズの鳴く木立をぬけてひとやすみ空の白雲旅にいざなう

若人の働く姿さわやかで我が家も国も明るき未来

人はみないつか死に行く風ふけば老いも若きもかげろうのごと

朝食はご飯味噌汁卵焼き海苔とたくわんあればしあわせ

子どもらの姿かくして秋の日の河原のススキ風にそよげり

妻と行く田んぼの前の喫茶店午後の日差しに稲穂が黄金

人生は手ぶらがたのしそうすれば空の青さが心にしみる

身を捨てて浮かぶ瀬もあれ世の中はいろいろあって楽しき人生

プラトンを心のささえに今日もまた満員電車で唯我独尊

新米をうましと食べる妻は馬年天高く馬肥ゆる秋

(今日の一首)

刈田より黄蝶ひとつ現れて
かろやかに舞う空の青さに


橋本裕 |MAILHomePage

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