橋本裕の日記
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2007年11月09日(金) |
なぜ氷は水に浮くのか |
私はときどきとてもプリミティブな質問をして、生徒や友人の困った顔を見て楽しむという悪い癖がある。たとえば、「なぜ氷は水に浮くのか」と質問する。この質問に答えられない高校生がたくさんいる。同僚の教員でさえ答えられないことが多い。
水は冷えて氷になると体積が増える。だから、寒い地方では水道管の中の水が凍り付いて、菅が破裂することがある。水は結晶化したときかえって分子の間に隙間ができてしまう。だから水は液体のときよりも固体の方が体積は大きくなる。当然比重も軽くなる。だから氷は水に浮くわけだ。
こんなことは小学生の頃、理科の時間で習ったはずだ。しかし、高校生になるころには大方忘れている。大人になるとなおさらだ。「氷が水に浮くのはあたりまえだ」とこう考えて、それ以上は考えることを拒否してしまう。
ところで、「氷の方が水より軽いからだ」という正解を答えた人も、まだ安心はできない。私はすかさず、「なぜ、軽い物体は水に浮くのか」と問いかける。そうすると、「そういえば、昔、浮力というものを習ったぞ。それはたぶん浮力のせいだ」という答えが返ってくる。
たしかにアルキメデスは「水面下に沈んだ分に相当する体積の水の重さだけ、その物体は浮力を受ける」という有名な法則を発見した。この原理を思い出した人は相当の秀才である。物が浮かぶのはこの浮力が物にかかる重力とつりあっているからだ。
こう答えられれば、まずは大正解ということになる。しかし、私の質問にはまだまだいくらでも先がある。そもそも浮力はどうして生まれるのか。そもそもアルキメデスの原理が正しいことはどうやって説明できるのか。興味のある方は、アルキメデスになったつもりで証明してみてはどうか。
(今日の一首)
幼子の我を見つめて笑ひたる なにやら楽し秋の一日
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