橋本裕の日記
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2007年11月11日(日) 浮力の生まれるメカニズム

 お風呂につかると体が軽くなる。これは浮力を受けるからだ。浮力の大きさは水面下にあるからだの容積に等しいだけの水の重さと同じである。これはどうしてそうなるのだろう。

 職員室で理科の先生にこの質問をしたとき、「それはその分だけ水を押しのけて持ち上げているわけだから、その分の水の圧力がかかっているのでしょう」という答えが返ってきた。なぜ押しのけた水が浮力を生むのか説明不足だが、浮力が水の圧力に関係があるというのは正しい。このことを単純なモデルを使って説明してみよう。

 今、お風呂に漬かった場合を考えてみよう。ただし自分の体が円筒形の肉の塊だと想像する。そうすると、円筒形の上の面は水面から少しだけ出ているので、水に漬かっている側面と下の面だけが水圧を受ける。

 ところで側面に受ける水圧は四方八方から平等に受けるので打ち消しあってしまう。そうすると円筒形の体にかかるのは下の面にかかる水圧だけである。そしてその向きは垂直に上向いている。じつはこれが浮力である。

 次にこの円筒形の物体に余計な力を加えて水に沈めたとする。そうすると、この物体は上と下と両方の面に水圧を受ける。しかし、この場合は上の面に受ける水圧よりも下の面に受ける水圧の方が大きい。だからその差が浮力となって物体を上に持ち上げようとするわけだ。

 そこで次にその浮力の大きさを調べてみよう。そのためには浮力の原因になっている水圧について、それが生まれるメカニズムを知らねばならない。一般に私たちが物を肩に背負う場合、その物体から圧力を受ける。その大きさはその物体の重さに等しい。

水圧の場合も同じで、ある深さの水の圧力は、その深さより上にある水の総重量だと考える事ができる。たとえば水面下100センチメートルの水圧を考えてみよう。水は1立方センチメートルあたり1グラムの質量をもち、それが100個つみあがれば100g重になる、したがって、100センチメートルの深さでの水圧は、1平方センチメートルあたり、100g重である。

このことから、円柱の底面にかかる水の圧力の合計は、水面下にある円柱の体積分の水の重さに等しいことがわかる。上面が水没している場合は、上の面と下の面の圧力差が浮力を生み出している。しかしこの場合もその圧力差(浮力)はその部分の体積に等しい水の重さなわけだ。

今は円筒形の物体で考えたが、これは別に円柱でなくて直方体のような角柱でもよいことはあきらかだろう。しかし、押しのけた体積分の水の重さだけ浮力を生むというアルキメデスの原理は、球形の物体や、人間の体のような複雑な物体でも等しく成り立っている。

その厳密な証明はむつかしいが、ここではどんな物体も縦に千切りすれば角柱の集合体として扱うことができるとだけ述べておこう。いずれにせよ、アルキメデスの原理は一般的に成り立っている。浮力の生まれるしくみがわかれば、この原理について理解が深まるはずだ。

(今日の一首)

 何ごともしくみを知れば面白し
 学ぶたのしみ尽きることなし


橋本裕 |MAILHomePage

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