橋本裕の日記
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2008年01月06日(日) 「静かならざる日々」の連載

 今年の抱負は「週一回日記に小説を連載する」ことだ。連載日は日曜日にした。来週の日曜日(1月13日)からはじめて、健康さえ許せば、毎回欠かさず連載したい。小説の題は「静かならざる日々」である。連載を前にして、作品の「あらすじ」を紹介しておこう。

―――――――――――――(あらすじ)――――――――――――――

主人公の川端信夫はこの3月に高校教師を退職し、悠々自適の身分になった。すでに15年ほど前に妻を亡くしていたので、一足先に退職した友人の神岡に誘われ、温泉旅行をしたり、俳句教室に通ったりして、のんびりと独身生活を謳歌していた。

ところが、夏のある日、一人娘の春子が男と別れて帰ってきた。しかも5歳になる女の子と2歳の男の子を連れていた。二人も孫がいたわけだ。上の子は典子といい、下の子は純也というらしい。

信夫の娘の春子は中学生の頃に母親を交通事故で失ってから父親に反抗的になった。母親の交通事故を父親のせいだと思っている。高校を中退し、男を作り、その後、家を出た。音信不通だった春子の出現に、信夫は戸惑う。しかも孫までいるので、信夫の平穏な引退生活は台無しになった。

春子は二児の母親になり、一人前の女になったが、父親に冷淡な態度を崩さなかった。信夫の方もいまさら肉親の情もわかず、3人とは距離を置いてつきあっている。そうして数ケ月が過ぎた12月のある日、ふいに春子の姿が家から消えた。「遠くに行きます」という自殺を予告するような置手紙と一緒に、二人の子どもが残された。

信夫はこうして二人の孫の世話をすることになった。定年後の悠々自適の生活はわずか数ケ月でまぼろしとなり、二人の孫をかかえて悪戦苦闘する毎日である。こうしてなんとも滑稽で、どこかものかなしい生活がはじまった。

 しかし、やがて信夫は大腸にポリープがみつかり病院に入院して手術する羽目になる。そこで孫たちを友人の神岡夫婦に預けることにした。一ケ月ほどして退院すると、二人ともすっかり神岡夫婦になついている。典子は信夫と一緒に帰るのをいやがる。

子どものない神岡夫婦も二人をそのまま養子として引き取りたいようだ。信夫はいったん二人を手放す決意をするが、しかし、思い直して、二人を引き取りに行く。そして、また孫二人との悪戦苦闘の日々がはじまる。

この小説で物語られるのは、川端信夫という老境にさしかかった男の、ほぼ1年間にわたる生活である。主人公の退職教師はどこからみても偉物ではない。欠点の多い平均的な俗人である。そうした平凡な男の頭に浮かぶ他愛のない独白や心象風景を、木曽川河畔に訪れる四季の変化の中で、なるべく淡々とていねいに描いてみたい。

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月4回のペースで書けば、50回ほどの連載ということになる。50回で完結するかどうか自信はない。その場合は来年も続編を書くことになるかもしれない。反対に20回や30回で挫折するかもしれない。これはやってみなければわからない冒険だ。だからスリルがある。


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