橋本裕の日記
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| 2008年01月11日(金) |
地球の一周はなぜ4万キロか |
今年は7日が始業式で、8日から通常の授業だった。最初の授業は4年生の数学の授業である。二学期に「微分」を終えていたので、新学期からは「積分」を教えることになる。事前の授業研究はばっちりで、すでに10時間分のプリントも作ってある。
定時制に来て3年になるが、4年生を教えるのは初めてだ。だから微分や積分の授業も初めてである。そのせいで授業プリントを作るにも力が入った。これに十数時間をついやし、我ながらいいプリントができたと自画自賛していた。
そしていよいよ最初の授業でプリントを配り、「さあ、今年もやるぞ」とやる気満々黒板に向かったとたんに、生徒たちから、「えっー、もう授業始めるの」と大ブーイングが巻き起こった。「授業するに決まっているじゃないか」と私。そうするとすかさず、「今日くらいはクイズでもしょうよ」という声があがる。私がクイズ大好き人間だと知っているからだ。
「だめだ、だめだ」と言っていたが、「僕が出題します」とK君に執拗に言われて、「そんなら、言ってみろ」といくらか腰砕けになってしまった。さらにK君が出した問題が面白かった。そこで積分の授業は次回からということで、クイズの時間に切り替えた。
<地球の円周は約4万キロメートルである。4万キロメートルの縄があれば地球を一回りして張り巡らせることができる。そこで問題。もし、地上1メートルの高さで地球一巡りしたら、どれだけの長さの縄が余分に必要だと思うか。次の選択肢からえらべ>
�� 約6メートル �� 約60メートル �� 約6キロメートル �� 約60キロメートル
これは有名な問題なので、私は分かったが、とりあえず、全員の生徒に答えを言わせた。そうすると��や�い鯏�える生徒が多かった。実は意外なことに正解は�,任△襦L簑蠅鮟个靴�K君は答えを知っていたが、計算の仕方はわからないという。他の生徒もわからないらしい。そこで、私が黒板で計算してみせた。
まず、円周率をπ、地球を半径Rメートルの球だとする。そうすると地球一周の長さは、円周の公式を使って、2πRとなる。
さて、地表から1メートル高くなると、円の半径はRからR+1へ変化する。そしてこの半径が1メートルだけ大きな円の円周は、これも円周の公式から、2π(R+1)である。だから、余分に必要な縄の長さは、この二つの円周の長さを引けば求まる。
余分に必要な縄の長さ=2π(R+1)−2πR =2πR+2π×1−2πR =2π×1 =6.28(メートル)
ちなみに地上2メートルの位置で縄を一周させれば、余分に必要な長さは、4π=12.6メートルということになる。つまり1メートル高くなるごとに、6メートルあまりの縄を継ぎ足してやればよいわけだ。地球の大きさに比べて、意外と短く感じられるのではないだろうか。
このことを説明したあとで、「それでは、なぜ地球一周が4万キロなのか知っているか」と生徒たちに質問してみた。「4万キロなんて、わりと切のいい数字だろう。たまたま偶然、地球の一周が4万キロだったのかな」と訊くと、みんな「たしかに不思議だよな」という顔をしていた。
「実は、1メートルの長さを決めたのはナポレオンなんだ。彼は地球の円周の4万分の1を1キロメートルとし、その1000分の1を1メートルだと決めたのさ。それまでは尺とかマイルとか、国によって長さの単位がまちまちだった。日常生活ではそれでいいが、国際的な活動をする学者や技術者たちは不便だった。そこで世界共通の長さの単位を作ったわけだ。」
長さの単位を、地球の円周から割り出すというグローバリズムの発想は素晴らしい。いかにも普遍的真理を愛したナポレオンらしい合理的な発想である。生徒たちはこの話は初耳らしく、「へえっ、そういうわけか」と驚いていた。
「しかし、地球の長さには測定の誤差があるからね。それでナポレオンはメートル原器というのを作り、それを1メートルの基準にした。おなじように、重さの単位も決めた。それがキログラムだ」
生徒から「重さの単位も地球を基準にしたんですか」と質問が出た。とっさに答えがうかばず、「それはどうかな」とクビを傾げて終わったが、職員室に帰る途中に「1立方センチメートルの水が1グラム」であることを思い出した。ナポレオンは「水」を用いて、重さの基準を定めたようだ。そういえば「万物は水からなる」と言ったギリシャの哲学者がいた。
おかげで積分の授業はおあずけになったが、これはこれで実りある授業だった。じつは、K君はこのあともう一つ数学クイズを提供してくれた。これもなかなか面白い問題なので、あしたの日記で紹介しよう。
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