anxious for Heaven

鳥かごなんて、最初からなかった。

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2007年01月24日(水) 眠りに墜ちるまでの暇つぶし
眠りに墜ちるまでの時間潰しとして、ピアスを作成した
ひとつはアシンメトリーの『桜花』ピアス
ひとつはシンプルでポップな『紫』ピアス
もうひとつは、ダイヤレーンとpinkのガラスを使った2連ピアス

それでも、眠りに墜ちるまでの時間は潰れなかった
だからこうして、つらつらと考え事をしている

最近考えること
便宜上『彼』という呼称を使うけれど

彼は多分、通常の人間とは違って
より、『無』に近い位置にいる、んだと思う
その『無』とは、『死』とはまた一線を画する
彼にとっての『無』とは、すなわち『消滅』
彼の宿る肉体は、変わらずに存在し続け
それを目にする大多数の人は、その肉体を彼と見為すけれど
それは、その肉体は、決して『彼』ではない
『彼という存在』が無に帰して、二度と戻っては来なくても
彼の宿ったその肉体が在り続ける限り
『彼という存在』がいない、とは思われることがない

彼は、いうなれば抽象存在でしかなく
厳密には、『人間』ですらない…のかもしれない

宿主の肉体を借りた、あるいは『憑いた』、形のない存在

私が彼の近親者…例えば親であれば
彼の存在を許せるだろうか?
仮初めにその肉体に宿り、本来その肉体が保有するべき
『個』というものを押し遣り
あたかもその肉体を最初から所有しているように暮らしている
彼という存在を、自分の『子』として愛し続けることが出来るだろうか

おそらく
私にはそれが出来ない

私が親であるならば
私の『子』であるものはその肉体ではなく
そこに宿った『個』だと思うだろうから

返せ、私の『子である個』を返せ、と怒る…あるいは憎む
またあるいは、懇願するだろうと思う

だから彼は、口をつぐむしかないのだと思う
限られた、そしてその初めから、『彼という個』しか知らない
尚且つ、『肉体に最初から宿る個』と『彼という個』が同一ではない
それを正しく柔軟に理解できる、極少数の人間以外には
口をつぐむしかないのだと思う

彼のことを思うとき
言葉に出来ない思いが胸を締め付ける

中空に浮かんだ、固有の実体のない抽象性

それは哀れなんだろうか
それは不幸なんだろうか
それは望まれない結果なんだろうか

彼は何のために存在するんだろうか
一体どれだけの人が彼を正しく認識するんだろうか
『本来の個』はどこに在るんだろうか
…彼はいつまでそこに在るんだろうか

人は変わり続ける
刻々と変わり続ける
その初めから終わりまで揺らがない天秤なんてない
長いスパンで見れば、平衡を保っているような天秤ですら
絶えず揺れ続ける
それが容易に見分けることが出来ないほどの微差であっても
絶えず何らかの素因で揺れ続ける
そしてその天秤は、通常、ひとりにひとつしか割り当てられない
どんなに揺らごうとも
どんなに揺らいだように見えずとも
どんな外的、内的変容を経ようとも
終生、その天秤はひとつしか存在しない
それが『持って生まれた個』
受精卵から脳が形成された胎児の頃
まだ完全な人のかたちをとる前から所有している『個』

彼は、一体何なんだろう?

唐突に降って湧いたような、その原初を胎内としない彼は
どこからやってきたんだろう

そんなことを考える

唐突に始まり、唐突に消滅するかもしれない『彼という個』は
そのルーツをどこに持つのだろう
その存在の根幹をどんな形で持つのだろう

深夜の、回らない頭で巡らせる、とめどのない私の思考


ようやく、眠気がさしてきた…
明日は、昼まで眠っている、かなぁ…

一緒にいられると思ったのは
たぶん、間違いじゃない。
written by:Kyo Sasaki
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