日記...マママ

 

 

まさかの - 2012年06月28日(木)

7年ほど前に、お見合いをしたことがある。
彼氏がいたので、はじめはそう言ってお見合い自体を断った。
のだけど、母親同士が親しくしていて、なんだかえらく盛り上がったようで「顔を立てると思って」と懇願され、なんだそのセリフ、ドラマかよ、とか思いながらちょっとばかり不謹慎ながらもお見合いなるものへの野次馬的興味もあって会うことになった。

ドラマみたいと言ってもさすがに振袖を着て「獅子脅しがカコーン」「ご趣味は?」みたいなのではなくて、仕事帰りにそのへんの居酒屋で飲みながらいろんな話をした。

よく覚えてないが、思想が左寄りなのか右寄りなのか、そんな話で盛り上がった。
わたしは左寄りだと思う、という話をした。
あとは覚えてない。

あ、覚えてた。
「タクシーにうちの名前を言っても、最近の運転手には行き先がわからない人がいる」
という話を聞いた。
地元の名家らしく、昔は名前だけでわかってもらえていたのだという。


話の流れがタクシー運転手のレベルがどうこう、という話だったので
「別に自慢するわけじゃないんだけど」
というのはたぶん本当にそうだったのだろう、ひとつのたとえのつもりだったのだろう、と思う。

でも、と思った。

まあとにかく、そんな感じでいろんな話をして帰った。

その後、先方から何回か「また会いたい」「真剣に付き合ってほしい」旨のお話をいただいたのだが、そもそもそんな名家のお嫁さん候補としてわたしに白羽の矢が立ったのは、どうもひとえに熊本大学出身だからということらしい。
意味がわからない。
東京大学とか、あるいはお茶の水大学とか、そういうのならわかる。
熊本土着の民の独特の偏狭さをまじまじと見た気がした。
鶴屋熊日肥後銀行。熊高熊大済々黌。


とてもそんなおうちに嫁ぐ自分がイメージできず、結局断った。


で、先日のこと。
そのときの方と同じ姓を名乗る女性から電話がかかってきた。
偶然だと思っていた、いや思いたかったのだけど、まあ普通にそこのお嫁さんだった。
奥さんはもちろん何も知らず、ただ子どもを通わせたいと思って電話してこられたのだろう。

で、お子さんといっしょに教室に来ていただいたときに、ちょっとびっくりすることを聞いた。


「義母に、こちらの教室の先生(※当時、母からわたしに代替わりしたばかりだったのだが、当然それは母から先方に伝わっている)がいいわよ、とすすめられたんです」


義母おおおお!!!!!

お前はいったいなにをやっとんじゃ!!!!!


義母はお見合いの件を忘れていたんだろう、たぶん単に忘れていたんだろう。
無理を承知でそう思うことにした。

お嫁さんは、お世辞でなくわたしなんかよりずっと美しく、やさしそうで、これはこの人と結婚したほうが絶対によかったよね、と心から思った。


はじめこそちょっとだけ心配だったけど、送り迎えはいつも奥さんだし、そもそも以前お見合いしたということもわたし自身忘れかけていた。

そこに来て

「今度の面談は、主人も連れて来たいんですが、よろしいでしょうか?」

と、奥さんから。

なぜかというと、ご主人がお子さんの勉強を見てあげることが最近多いみたいで、ご主人にも指導者からの話を詳しく聞いてほしいから、なんだそうです。

うん。それはありがたい。
お父さんって普段話す機会が少ないし、面談に来てくれるのは、すごくありがたいんだよ。
勉強を見てくださってるんなら、なおさら、指導方針をよくご理解いただかないといけないし。
そうなんだよ…。

奥さんは本当にいっしょうけんめいで

「主人にもぜひ話を聞いてほしいので、主人が休みの日になんとかお願いできないでしょうか」

と。

うん…。そこまでおっしゃっていることですし…。
わたしがんばる…。


困ったのが

「奥さんは、お見合いしたことをご存じなのかどうかがわからない」
「そして、それを確かめようがない」
「ご主人が、どんなスタンスで面談にいらっしゃるのかわからない」
「そもそも覚えておられるのかどうかもわからない」
「覚えてるとして、たぶん(常識的な感覚なら)隠したいことだと思うから、初対面のふりをすればいいのだろう」
「しかし万が一、それが『失礼だ』と受け取られてしまったら‥」
「てか初対面のふりとかマジ無理、わたしそういうの一番苦手」

らへんだった。
本当に、どうすればいいのかわからなかった。
会話の中で相手の出方を探ってゆくにしても、その過程で奥さんが変に思ってしまったらだめだ。
やるなら徹頭徹尾、同じスタンスでやりきらないと。

と思っていたら、今日なんと、ご主人のほうがお子さんを迎えに来てくださったのである。
うちのスタッフさんと「はじめましてー」とかって挨拶してる声が明らかにお父さんの声!!

これは!
天の与えたもうたチャンス!!

とダッシュで玄関先へ。

とにかく、向こうのスタンスをそれとなく確認したかったのだ。
覚えてるのか、覚えてないのか。
言ってるのか、言ってないのか。

車越しに、ちょっと距離がある状態で

「どうもー、こんにちはー」

というあいさつの中に、だいぶ早口で

「おひさしぶりです」

を一言混ぜてみた。


お父さんは、少し動揺しながらも、明らかに聞こえないふりをしました!!


よし!確認完了!
なかったことでOKね!!


あと、これで少なくとも初対面の演技を意識しなくてよくなった!
こういう陳腐な芝居ほど苦手なものはない。
意識すればするほどぼろが出るものだ。

当日は

「先日、お迎えのときにお父さんとお会いしたんですけど、お子さんとそっくりですね〜」

と冒頭に言うことにした。
この一言で、ぎくしゃく感を一気に払拭するのだ。
流れを引き寄せるのだ!



さて帰ろう。










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