日曜なのにヒマです。 ゴールデン・ウイークが過ぎると、とたんに観光客のみなさんが少なくなり、これから暑くなるほうなので、地元消費もあまりふるいません。
きのうノン・アルコールビールの話から、酒質設計のことに話が展開しましたので今日はそのお話を少しばかり。
「竹生嶋は辛口ですか?」と質問される方がよくおいでになります。10年以上前、1級酒と2級酒だけで商売ができた時代は、おおざっぱな傾向についてお答えができたのですが、今は少量多品種が進み、私どものような場末の蔵元でも、原料米、酵母、仕込みの配合比率を違えて、9種類もの醪(もろみ)を立てています。当然味わいも違いますし、甘辛も商品によって意識的に変えています。
昔のように地元の米で、蔵内の井戸(発酵力に関係)で、蔵つきの酵母(協会7号酵母とか、9号酵母とか選択の余地がない)で仕込んでいれば、おのずと酒質も定まってきますが、今は酒質設計が可能になりました。
日本酒もすでに「原料や環境、杜氏の流儀によっておのずと酒質がきまる」時代から「意識的に酒質を決める」時代になっているのです。
ひと昔前、一世を風靡した「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」というお酒は、当時、愛飲家が志向していた(今でもこのタイプが好みの方は多いのですが)「淡麗で、香り高い酒」を、極端にまでデフォルメした酒質設計の結果、生まれた商品だと私は考えます。
ただしかし、どんな商品展開をするにしても、ひとつの蔵の商品群には一貫した理念なり方針が必要だと考えます。とくに個性が求められる地酒蔵ほど強く「自分の蔵の酒はどういう考え方で造っているのか」を意識せねばなりません。そうしなければ、大手メーカーの物量と声高な宣伝力の前にたやすく蹴散らされてしまうでしょう。
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