海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年06月09日(月) 畦道ロードにほろよい専務(滋賀東びわこ農協編)

滋賀県酒造好適米生産の総本山「JA東びわこ農協」へ見学に行ってきました。

東海道線JR川瀬駅前に東びわこ農協本店があります。

玉栄と吟吹雪のたんぼは、主に国道8号線東側より、名神高速道路にはさまれた(甲良町、豊郷町、秦荘町、愛知川町にまたがる)地域に広がっており、キヌヒカリやコシヒカリ、転作の麦畑(取り入れ直前)と混在しています。

本年の作付面積は、玉栄100町歩強で9.500俵の収穫。吟吹雪は20町歩強
で2.000俵の収穫を予定しておられるそうです(反収9俵程度がこれまでの実績だそうですが、個人的には少し取り過ぎかと思います。でも1俵あたりの農協買上単価が低迷しているから、できるだけ沢山とってという気持ちはわからないでもありません)。

去年最大の問題点であった、7月下旬の出穂(しゅっすい)から登熟期にか
けての高温障害による胴割米(稲刈り前、あるいは収穫後の乾燥で玄米にヒビがはいること)の大量出現に対して、今年はどのように農協が指導されているかが、私の一番の関心事でした。

胴割れの最大の原因は、出穂(7月下旬)からお米が成熟していく登熟期にかけて、高温が続き、夜もあまり温度が下がらないため、稲の呼吸量が増大し、エネルギーを消耗、デンプンがこのために消費され、お米にまわらなくなるために、お米の組織がもろくなるからだそうです。この現象ははここ数年続いて起こっており、地球温暖化が遠因になっている可能性が高いと思われます。

こうしたお米は精米にかけると、すぐに砕けてしまい、1000キロの玄米を600キロとか500キロに磨きこむ高精米が非常に難しく、歩留まりが悪くなってしまいます。

一番の対策は、田植えの時期を1ヶ月ほど遅らせ、5月下旬くらいにもっていくことだと思うのですが(少し前の日記に書いたとおり、徳島とか兵庫では品種は違うとはいえ、6月になるまで田植えはしていません)、このあたりのお百姓さんは兼業農家が多く、高齢化がすすみ、平均の田んぼの面積が6反程度、苗はほとんど農協のものに頼っておられれます。息子さんが容易に休みがとれるゴールデンウイークに田植えをせざるを得ない事情があるそうです。

そのかわりに、肥培管理や水の管理などで胴割れをふせぐ方策をかんがえておられるそうですが、それで本当によいお米がとれるのでしょうか。他にも、単位面積あたりの株の多さや、一株の苗の本数の多さとか、不満な点はいくつかあるのですが、今年のところは、JA東びわこ農協さんのお手並みを拝見させていただこうと思います。

もし、今度のお米が今年と同じような結果になってしまった場合は、ユーザーとしてはっきりとした発言をさせていただくつもりです。こちらも、日本酒市場が低迷し、経営が難しい中で多額の資金を準備して、前払いでお米を仕入れているのです。中途半端なお米なら欲しくありません。


PS。胴割れの原因は、穂の先端から根の方に向かって成熟していくお米の登熟期に高温が続き、急激に登熟して過乾燥を起こし割れやすくなったり、稲刈り前にコンバインを入れやすくするために田んぼの水を落とす際、早く落とし過ぎて米が乾燥しすぎることも原因になるそうです。(6月11日追記)






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