けさ、酒DS(ディスカウント・ストア)の折り込みチラシが入りました。
ビールや発泡酒、大手のパック酒などいつもの品が、いつものように安く、一般の酒販店が卸会社さんから仕入れる値段より安い値段でチラシに載っています。
いつもとちがうのは、裏面に今ブームの乙類焼酎の紹介コーナーがあり、いわゆるレア物の人気銘柄の写真が何種類も出ていることです。
ところが不思議なことには値段がまったく書いていません。店頭発表ということなのでしょうか。
私が知る限り、写真が出ているレア物焼酎の醸造元の多くは、特約店だけへの限定流通をされており、直接に酒DSが仕入れられないはずです。
したがって、今回このDSで販売されるレア物焼酎は、メーカーが希望する希望小売価格ではなく、プレミアがついた割高な価格にならざるを得ないでしょう。
超有名な焼酎や日本酒を売りさばくブラックマーケットがこの業界にはあり、特約店などから定価で買った商品を、転売して儲ける卑劣な輩が実際にいるのです。
本来、酒DSの経営理念は、現金仕入れや、大量仕入れによって流通経費をできるだけ削減し、できるだけ安く商品を販売することにあるはずでしたが、それでも粗利益率15%程度は確保しないとやっていけない、というのが昭和の末年当時の酒流通評論家のおおかたの意見でした。
しかしながら、いったん戦端を切った廉売競争のなかではそんな理屈は通用しません。食うか食われるか、自分の体力以上の安売りをつづけ、おそらくビールや発泡酒、パック酒では商売にならない状態になってしまい、DSの中でも倒産や廃業を余儀なくされた会社が日本中にゴロゴロしています(言っちゃ悪いがビールや発泡酒をこんなに利益の出ない「卵」のような商品にしてしまったのは君たちDSの責任ですぞ)。
流通革新の旗手として一世を風靡した酒DSが、プレミア付の商品で利益を出そうというのですからお笑い草です。プライドがあるなら「こんなプレミア付のお酒は弊社の経営理念では絶対みとめられませんので売れません」と言ってごらんなさい。そういうDSの経営者なら取引をするかしないかはともかく、一度酒席を共にしたいものです。
だから、ほろよいは節操のない酒DSは嫌いなのです。
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