海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年07月26日(土) チーズと日本酒

いろんなタイプのナチュラルチーズと、日本酒のさまざまなタイプを楽しむ会に、行ってきました。

主催は大津市浜大津のお酒屋さん「小川酒店」のお嬢さん、布施明美さんで、チーズのコメンテーターは、琵琶湖ホテルの和泉夕加里さんというチーズプロフェッショナル。お酒のコメンテーターは、不肖ほろよいでありました。

30分くらい前に会場に到着、お酒の準備などしていると、続々とお客様が到着。尼崎からおいでになった女性の方や、神戸からおいでになったシャンソン歌手のご夫婦などお口の肥えた方ばかりのようです(地元の酒席では、本醸造のお燗あたりでドンチャンやっているのがピッタリのほろよいなので、どうもお尻のあたりがムズムズします)。

お客様とお話していると、海津大崎のお花見にかなりの方がお見えのようで、「ああ、あの大きな杉玉のぶら下がっている蔵元さんですね」とか「いつも、その時分は店頭でみぞれ酒を売ってますね」とか「何度かお酒を買いに行っているんですよ」とおっしゃってくださいます。これですこしお客様との距離が縮まったようで、落ち着いてお話することができました。

今回のチーズは、フレッシュなクリームチーズに味噌で風味付けしたもの、青カビで熟成させたロックフォールチーズ。ハードタイプのチーズ。塩水でチーズの表面を洗って熟成させたウオッシュタイプのチーズの4種類でした。

とくにウォッシュタイプのチーズの香りたるやすさまじく、盛り付けたお皿がサービスカウンターにまだ置いてある時分から、そのにおいが会場内に漂っていました。

ほろよいの蔵から持っていったのは、大吟醸、辛口純米生原酒、雪花、金紋本醸造のぬる燗、常温熟成2年吟醸原酒忘憂(ぼうゆう)2001年のぬる燗、常温熟成10年純米大吟醸鬱金(うこん)1993年の6種類でした。

生酒、吟醸、純米吟醸などでも、ほろよいの蔵の酒はけっこう味を出していますので、クリームチーズやハードタイプのチーズと美味しく楽しめました。

ぬる燗したお酒もなかなか捨てがたいものがあり、金紋本醸造と忘憂は、塩味の強いロックフォールチーズや、独特の臭みのあって、こってりコクのあるウォッシュタイプのチーズでも美味しく楽しめました、(塩を肴にお酒をのむこともあるのだから、当然といえば当然なのですが)。また、お燗が作り出す体温に近い温度というのは、お酒も味わいに幅がうまれるし、チーズもより柔らかにクリーミーになり、味わいが増すように感じられました

常温熟成10年の純米大吟醸酒鬱金はもっとも包容力があり、6種類のチーズのどれとも相性がよいようでした。

鮒寿しフリークで、悪食のほろよいのおすすめする本日のベストカップルは、やはり鬱金と一番臭いウォッシュタイプの組み合わせで、お互いに独特の個性を主張しながら、口中でお互いの風味が絶妙に調和しあっていました。

チーズプロフェッショナルの和泉さんは、この日のために、クリームチーズに白味噌の風味をつけたものを特別に準備してくださいました。通例なら干しぶどうやナッツなどをまぜるところだそうですが、日本酒を楽しむので、白味噌で風味付けをされたそうです(別に赤味噌も小皿に準備してあり、白味噌と比べられるような、心憎い気配りはうれしい限りです)。

この例でもおわかりになるように、彼女のお話は、日本酒のマニアによくあるような、テクニカルターム(技術用語)をちりばめた鼻持ちならない自己満足のお喋りではなく、「個性のあるチーズをどのように説明し、どのように提供したら、お客様がその醍醐味を理解でき、楽しんでもらえるのか」という、お客様本位のお考えが随所に感じられるすばらしいものでした。

ほろよいも見習わなければ。


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