海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2004年01月12日(月) 量販店の風景

大晦日に今津のスーパーの酒売り場で見た風景が、なんとも腹立たしく、すぐ日記に書くと筆がすべりそうに思えたので、2週間後の日記にしてみました。

ほろよいが見たのは、こんな風景でした。

年末最後の宅配便の出荷を終え、閉店間際のスーパーへ、ほろよいは奥様とお正月の食料品を買出しにいきました。

職業柄やはり気になるのは酒売り場の様子です。ここは、数年前から限定つき(周辺小売店の影響を考え「720ml詰以下の酒類に限る」という容量の制限や、取扱い品目の制限がかかってた)の小売酒販免許をとって営業されていたのですが、酒販免許の自由化により、今年から制限がとれ、普通にお酒の販売ができるようになりました。

ビールはケース単位でDSなみにお安く、パック酒や焼酎、県内の地酒と、どこの量販店でもあるような品揃えに、お正月向けの少し高級なお酒が目立つところに陳列されています。

ン!と目を見張ったのは、あの超有名ブランド酒「越の寒梅」「久保田」が、プレミア付きの価格で堂々と販売されていることです。「越の寒梅」にいたっては、720mlで3千円台の値付けです(3000円出すんだったら竹生嶋の純米大吟醸が買えるではありませんか)。製造年月をみれば6月の日付でまたまた口をあんぐり。

恐らく在庫をダブらせている正規の特約店から買い集め、プレミアをつけて欲しがっている酒屋さんに流す業者から仕入れているのでしょう。

どちらの蔵元さんもすばらしいお酒をつくっておられ、蔵元さんがお願いしている希望小売価格で手に入れば、リーズナブルで美味しいお酒だと思うのですが、こんなにプレミアがついてしまうと、売り手が消費者さんをバカにしているとしか思えません。「売れれば何をしてもかまわない」という独善に虫酸がはしります。

お酒の仕入れのプロであれば、こんなプレミアがついたバブリーな商品を仕入れるべきではありません。

いったい「良い物をものを安く」という量販店の経営理念はどこへいったのでしょうか。

仕入れ担当からは「お客様から手に入らないかとよくいわれるもので」という言い訳が聞こえてきそうですが、まっとうな商売人であれば、これらのお酒が「特約店にのみ流通しているお酒であり、自分の店では取り扱えないこと」をお客様にはっきり伝え、「同等の酒質であればこのお酒などいかがですか(きき酒能力が要求されますな)」というアドバイスをするのが正しい姿勢だと思うのです。

お酒の市場がもっともっと、落ち着いた大人の市場になるのはいつのことでしょうか。業界人それぞれが自覚しなければならないと思います。




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