さて酒の専業店はどんな状態かといいますと、これは第2種兼業酒販店とは比べ物にならない位疲弊しています。
ほろよいのあたりでは、一番売れているのがビールと発泡酒、次が日本酒、3番目がウイスキーやらブランデーやら焼酎などの蒸留酒です。
すでにビールはDSがとんでもなく安い値段で販売しておられます。はっきりいって普通の小売屋さんが問屋さんから仕入れる値段と同等か、それを割り込む価格で販売しておられる例もたくさんあり、公正取引委員会から不当廉売として警告を受けた例も過去にあります(ココとココ)。
いかにDSが大量仕入れで仕入価格を下げているとはいえ、そんな値段でまっとうな利益を出しているわけがありません。赤字覚悟か微々たる儲けしかはずです。
ビールと発泡酒は客寄せで、ついでに高利益商品も買ってもらえればなんとか採算がとれるとDSはお考えのようですが、一般の酒専業店はこれではたまりません。
特に夏季には売上の7割以上をしめるビール、発泡酒をDSと同じ値段で販売すれば利益を生み出さないのですから。
日本酒も、灘、伏見の大手酒造メーカーのお酒(パック酒を中心に)はDSで目玉商品となり、同じ商品を一般の酒販店さんが並べても売れるはずがありません。
一般の酒販店さんにとって、辛うじて残った利益商品が値崩れのない地酒ですが、都市部における地酒専門店など特殊な例をのぞき、郡部ではそれだけを販売していても、店舗を維持できるほど売上が上がるわけがありません。
さらに酒販業界における規制緩和(距離基準、人口基準の撤廃による小売酒販免許の自由化)が過当競争に拍車をかけています。
TKCに加盟する税理士事務所で会計を委託している酒小売店(DSも含む)の平均的な経営状態は、売上が2億4千万強、平均従業員者6人強で、黒字企業が27.1%というありさまです。
これは、会計を税理士事務所に委託できるかなり大きな酒販店さんばかりの平均で、ほろよいのいるエリアにはこんな規模の酒販店さんはありません。大きくても売上1億から2億程度で、経営状態もこのデータより悪いと想像されます。
かくして、酒専業店の廃業、破産、夜逃げ(自殺者も数人ではききません)が全国で続出するわけです(大阪酒販情報サービスHP「街並から酒屋さんが消える」を御参照)。
滋賀県でも昨年末、大津市内で指折りの酒専業店2店が店舗を閉じられ、県酒販業界に大きな衝撃が走りました。
利益をあげられる商品がほとんどなくなり、過当な競争を強いられている現在、酒販店さんの努力不足や不勉強ばかりを責められない状況になっているのです。
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