2004年07月19日(月) |
ディティール(detail/細部)に神は宿る |
きのうから家族サービスで東京に滞在しています。
このあいだお仕事で上京したばかりなのですが、豚児たちと(サソリ座でA型の)奥様のたっての御希望ですから仕方ありません。
きのうは東京ドームで巨人ヤクルト戦を観戦。阿部慎之介のサヨナラホームランを目前で見る幸せに恵まれました。
今日は「三鷹の森ジブリ美術館」です。井の頭公園の中にあって、美術館そのものがトトロなどの映画にでてくるような楽しいデザインになっています。
整然とした順路があるわけではなく、あちらこちらをきょろきょろと探しながら展示物を見ていく楽しさと、「あれっ、なんだこれは!」と思わせるセンス オブ ワンダー(sense of wonder)の世界が満ちています。
猫バスが走っているところを、コマ取りにした立体模型を何体も造り、ストロボを使って立体アニメーションにした装置は出色で、ずいぶん長い時間ながめていました。
「風の谷のナウシカ」のオープニングで出てきた絵巻風のシーンは、ノルマンの大絵巻(バイユーのタピストリー/横浜帆船模型同好会のHPより)を本歌取りしたものだと思っていたのですが、宮崎さんの参考図書のコーナーにこの大絵巻の図録があったのでやはりなるほどと合点がいった次第。
さらに、こうした展示物は言うにおよばず、館内のあらゆるものに神経がいきとどいています。
たとえば、館内の窓ガラスは単なる現代の板ガラスではなく、昔のような厚さにムラがあって外が少し歪んで見える、一味違ったガラスになっていて、いたるところにジブリの映画の1シーンがステンドグラスに仕立てられています。
消火栓(消防関係の法律で設置を義務づけられている)でさえ、あのどこにでも見られる無機質なものではなく、消防士のヘルメットのミニチュアやら手斧がさりげなく飾られていて、それだけで一見の価値があります。
ジブリ美術館の旗もよく考えてあり、「3羽の鷹(三鷹)」と「猪(井の頭公園からきたものか?)」「木の下にたたずむトトロ(ジブリの象徴)」が、西洋の紋章風にレイアウトされたもので、作者に西洋の紋章の知識がないと造れないものです。
展示しているものだけではなく、館内になにげなく置いてあるさまざまなものに宮崎駿さんの創作者としての意思を感じてしまうすばらしい美術館でした。
まさに「ディティールに神は宿る」と言うべきでしょう。
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