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■ ケロヨン
幼稚園の頃、私の母は私と妹をたびたびケロヨンのお芝居に連れていってくれた。 ケロヨンのお芝居・・・正式には「木馬座」という劇団のぬいぐるみの劇だった。 今で言う、「おかあさんといっしょ」のぬいぐるみみたいなもんだ。
舞台の上で踊ったり喋ったり劇をしたりするケロヨンに、憧れを感じた。 普段はテレビの中でしか会えない彼ら・・・。 その彼らがスポットライトを浴び、今私の目の前で華々しく踊っている。 私も妹も、うっとりと舞台を見つめていた。
なんだかんだで楽しい時間は過ぎ、いよいよフィナーレ! 出演していたケロヨン達は、両手に鈴を持ち(まるで宝塚のように!)シャンシャンと舞台中央に集まり出した。 そして、舞台の中央階段から客席に降りてきた。 ファンサービスだ!! 憧れのケロヨン。 だけど、だけど・・・近くで見るとちょっと恐い。 カエルの顔をした人間。 そう、まるで、カエル人間なのだ。 それだけではない。 兎人間、犬人間、猫人間・・・動物なのに人間の容姿をした考えてみれば妙な生き物達。 幼心に、少々の恐怖が頭をよぎった。 ふと、隣を見ると私以上に妹はびびっている。
ケロヨン達はシャンシャン鈴を鳴らして近づいてきた。 子供達に手を振りながら・・・。
妹のおびえた姿に私は、なぜか平常心を取り戻した。 シャンシャンシャン・・・音楽に合わせ踊りながら歩くカエル人間達。
と、その時、カエル人間は妹に手を差し伸べた。 (え!?)私はとっさに隣の妹を見た。
そうなんです。 ケロヨンはとっておきのサービスのつもりで、妹の頭をそっとなでてくれたのです。 可愛そうに!! 妹は恐怖のあまり泣き出しました。 そんなことにもおかまい無しに、音楽に乗ってシャンシャン歩いていったカエル人間達。
私は思った。 妹は、来るな来るなと心で念じていたのだろう。 なのに、そんな妹の心とは裏腹に彼らはやってきた。 その時の心理状況は、かなりのものだったろう。 可愛そうに・・・。 でも、私も本当は恐かった。でも妹のおびえた姿に我に返った。 あー泣かなくって良かった。
ケロヨンよ、今はいずこに・・・。
2001年07月11日(水)
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