2006年01月28日(土) |
■クラウディアからの手紙 |
スパイ容疑でソ連への抑留を命じられた 一人の日本人男性を支え続けた一人のロシア女性と、 彼を待ち続けた妻。旧ロシアが崩壊し、日本への 帰国が漸く男に許された時、彼と彼女が下した決断は?
という粗筋もそうですが、パンフレットを開いて、 クラウディアさんの半生を読むだけで、 その決断にうるっと来てしまう。
普段なら、見に行かないタイプの芝居なのですが、
斉藤由貴さん、好き(はあと) 高橋惠子さん、好き(らぶ)
何より宣伝用のチラシ、佐々木蔵之助さんを真ん中に、 その下に寄り添う二人の女、空と大地という、チラシが 美しくて、、というかポスター欲しいな(笑)
で、肝心な中身はというと、 ドキュンメタリーとして素晴らしいモノをドラマでも 映画でもなく、舞台にする理由というか、 劇的表現がきちんと現れてまして、 そこは演出家に拍手。 そして、溝口さんの美しい音楽に◎。 (でも、この辺りは金使っているなと思った(笑))
そして、斉藤由貴さん。 無償の愛が似合う数少ない役者。
クラウディアに逢う前、リンチでぼろぼろになった 彌三郎をそっとクラウディアが聖母のように膝に抱える 場面があるのですが、 もう、まんま斉藤由貴さんそのもので〜 変わらないというか、斉藤由貴さんが増していくというか、 彼女が変わらないというのは、改めて凄いなと。
脚本のポイントも、(多分) 夫婦愛とというよりは、 彌三郎の狂おしいほど、そして理屈抜きの望郷の念に、 クラウディアさんは決意し、後押ししたんだろうなと。
「他人の不幸の上に、自分の幸せを築くことは、 私には出来ません!」(引用です)というキーワードがあるのですが、 見る前と後では、誰を差しているかが、若干違ってきます。
その表現として、台詞よりも何よりも、 80才になっても姿が変わらない二人は、 ただ前に踏み出せない、二人の人間を表しているというのが、 旨いです。
でも、最後の涙は、クラウディアが彌三郎にして、 あげたことに対するものなのよ。
それでも、人は芝居を、ドラマを映画を小説を作るのね。
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