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2004年03月06日(土) (・ x ・)

 本日は、板橋まで行ってまいりました。
板橋区立美術館 「ディック・ブルーナ展」
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/art/

 いわずと知れた、ミッフィーの作者。
ご本人も、絵に描いたような絵本作家のお爺ちゃん、
といった感じの好々爺。ラヴ。


 2年ほど前に、新宿の百貨店で開催された展覧会を観にいったし、
最近、「芸術新潮」で特集が組まれたばかりだったので
色々ネタは仕込んであったのですが、板橋区立美術館のコンパクトで
アットホームな雰囲気が上手く展示内容と嵌って、小規模ながら
非常に見応えのある展覧会でした。

 母国オランダでは、絵本だけでなく、本の装丁やポスター、
街のシンボルマークまで手がけ、グラフィックデザイナーとしても
高く評価されている、ディック・ブルーナ。

 日本での展覧会は、絵本のミッフィーの愛らしさのみを
フューチャリングして、乳幼児向けに偏りそうですが、
モダン・アーティストとしてのブルーナを評価していて、
館内の内装も、展示内容に合わせて、ブルーナ・カラーの
柱などを、白を基調とした館内のアクセントとして配置したりと、
非常にポップで、お洒落な扱いが目立ちました。

 そして、美術館の白壁に、ミッフィーの目と口が。


もともと、ディック・ブルーナの作品のコンセプトは、
極限の簡略化とテーマの明示 だそうで。

例えば、ミッフィーに使用される色は、ブルーナ・カラー と
呼ばれる、赤・青・黄・緑・茶・グレーの6色 で統一され、
それぞれの色に意味があるし、イラストも、空白部分を活かし、
余分なものを一切省いた、最低限のラインで描かれています。

まさに侘び寂の境地。

 ただ無造作に描かれたように見える、黒楕円2つと×ひとつでも
(実際は、計算されつくした絶妙な配置なんですけど)
それはミッフィーを表す記号である訳です。

 この辺りの感覚って、本当に 現代アートの真髄 って感じがする。
それをグダグダした判りにくい解説文などでなく、目にした人に
感覚的にスルッと自然に判らせたのは、お見事。

 
 国立や都立の博物館に比べれば、お金も掛かっていないし
小規模な展覧会だけど、センスひとつで、多くを言葉で語らなくても
芸術家の世界観を、大人にも子供にも、こんなに楽しく伝えることが
可能なのだと、強く感じました。

 なんか、すごくいいもの見た気分。感動して涙出るかと思った。

 
 日本の美術館て、綺麗な箱(施設)を作って、豪華なもの(作品)を
飾っとけばいい
、という考え方がまだまだ根強く残っている気がするけど、
人間は雰囲気に騙される生き物なんだから。

作者の意図するテーマを判り易く伝えるための手段(展示の方法)の
工夫って、もっと大切に考えていいと思うの。即物的な意味でもね。

 最近、近現代の作品を扱った美術館を中心に、そういう動きが
活発になってきていて、例えば、付属のレストランで、展示内容に合わせた
テーマの料理を用意したり、一風変わった展示会場のレイアウトだったり、
イベント特製グッズを販売、というのが珍しくなくなってきているけど、
こんなにドンピシャな展覧会は、なかなかない。凄いよ。

 
 1Fの特設喫茶(中学の文化祭の喫茶店レベルだけどね)で
ミッフィーチョコケーキと、一日限定70個ミッフィー型パン
が販売され、特設売店では、山のようなミッフィーグッズ販売と、郵便局が出張して、
ミッフィー&ブラックベア消印で郵便が出せる という
(もちろん「ふみの日」ブルーナ切手とポストカード販売あり)スペシャルサービスつき。

 まさに至れり尽くせり。行って絶対に損はなし。
アットホームな手作り感が、またブルーナの世界に嵌るんだよね。


 ところで、ミッフィーのトリビアをひとつ。
日本では昔、「ふわふわうさこちゃん」 という名前だったミッフィー。

本家本元のオランダでは、ナインチェ・ブラウス という名前だとか。

オランダ語で、「ナインチェ」「小さなうさぎちゃん」
「ブラウス」「ふわふわ」 という意味らしい。
「ミッフィー」というのは、英語圏での名称なんだってさ。5へぇ。


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まめ。 [HOMEPAGE]