暖かい昼下がり、新大久保〜大久保駅まで、細い路地沿いに 近道していくと、途中の空き地付近で、大きな縞猫によく遭遇します。
一年中妊娠しているかのような、タップタプの腹に 毛なのか肉なのか、ポヨポヨした頬の、肉まん型のデカイ顔。 妙に据わった三白眼。洗い立てのような真っ白な腹毛に、 艶々とお日様に輝く背中。
栄養状態が良好そうな上、民家の玄関先(ドア開きっぱなし)で ウツラウツラと日向ぼっこしてるのをよく見かけるので、 飼い猫かなあ、と思っていたら、その家のオバちゃんが、 野良猫なのよ、と教えてくれました。
天気のよい日には、よく軒先を貸しているらしいのですが、 一度もあのツヤツヤフカフカな毛並みを触らしてもらえないらしい。
私が遠巻きに見ていても、目も開けやしませんが、 ジリジリとにじり寄って、あともう少しで手が届きそう、 というところまで近づくと、フイッと絶妙な間合いで かわしてしまうのです。
さて、今日は空き地前を巡回中の件の猫に遭遇。 道路の少し先を、私のことなど気にも留めない素振りで 腹肉を揺らしながら悠然と歩く猫に、一声掛けてみました。
「でーぶ。」
するとどうでしょう。いつもは知らん振りでさり気なく 足早に去って行く猫が、くるりと振り返ったではありませんか。
凶悪なほどの目つきで、じっと私を見上げる瞳が、 なんだか恨めしそうにも不機嫌そうにも見えるのに、
ああ、やっと振り返ってもらえた。
と妙に感動して嬉しくなったり。
猫と私の関係って、切ない片想いみたいだ。 猫にとっては迷惑この上ない感じが、また特に。
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