やっと観てきました。「イノセンス」
なんていうのかなあ。 期待が大きすぎた分、なんだか拍子抜けしたっていうか…。
前作に比べると、作画であからさまに普通のアニメっぽい部分が 増えていて、それが違和感あったり。特に主人公のバトーの顔。 背景はすごく綺麗だったけど、たまに入るフルCGっぽい場面が 妙に浮いていて、ちょっと嫌かも。(フルCGの不自然さが苦手)
あとは、モチーフの使い方が、安直というかなんというか。 なんとなく、若いなあ、って苦笑したくなるような。
押井作品なんで、相変わらず、小難しい薀蓄を登場人物たちが 必要以上に喋るんですが、説教臭い割りに、ストーリーを通した 問題提起が、薄っぺらく説明不足なせいかも。 私の理解力が足りないだけなのかもしれないが。
個人的な感想としては、ストーリーの本筋や主題があるのに、 本筋の周りの枝葉末節を装飾することに重点を置きすぎちゃって 一般的に映画として一番盛り上げなくてはいけない部分が 妙にあっさりと小さく纏まっちゃってる印象が強いです。
一応、ラブストーリーらしい部分もあるんだけど、 一方的な女神崇拝に終始しちゃってて、しかも女神が 異様なくらい寛大で気持ち悪い。 実体がなくて精神的な繋がりだけだから、仕方ないのかもしれないが。
女の子に興味があるのに、実経験こなしてない男子の
エロゲー的ご都合主義の、ドリー夢物語
つう感じで、青くてなんかこっ恥ずかしい。(エロはないが)
ジブリ絡みで派手に宣伝ブチかましちゃったけど、 やっぱり一般大衆向けの映画じゃないよなあ。 アレ見て喜べるかどうかって、
オタクかそうじゃないかの踏み絵
みたいなものじゃないんだろうか。(私はオタクです)
話の筋自体は凄く単純だし、登場人物も少ないから 判りやすいはずなのに、変に難しく煙に巻いてる感じは 色々薀蓄引っ張り出して、大仰に議論するのが大好きな人々に どうぞ盛り上がってくれ、と言わんばかりだしね。
ただ、犬はすごく可愛かった。 犬が大好きでよく判ってる人が、本当に細かいディテールまで 実態に忠実に再現しているって感じで。
飼い主の帰宅に喜び勇んで椅子から落ちるところとか、 餌入れに耳突っ込んで、鼻先で容器を動かしちゃうところとか、 膝の上で熟睡する寸前に、大きくため息つくところとか、 久しぶりに再開した飼い主と、耳の後ろの匂いを確認しあうところとか。
人間やアンドロイドの登場人物たちの現実感が、非常に希薄だった分、 リアルな造形の犬と主人公の関係が、この映画の主題(らしきもの)に もっとも食い込んだ部分だったような気がします。
まあ、普通の感覚で楽しい映画だ、とはお勧めできませんが、 押井監督が大好きなものと興味があるものをごった煮にして 皆さんに紹介している話だと思えば、とても楽しい話です。
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