NY州在住 <旧『東京在住』・旧旧『NY在住』>
kiyo



 志士たちの足跡

 大仰なサブジェクトとはあんまり関係ない話を一つ。なんか、高校生の履修不足がホット一シューだという話を聞いたので。

 昨日、日本語を勉強してる外国人が日本企業の就職面接を受けるということで、エッセイなどを直したり、いろいろなアドバイスをしてきました。一人はアメリカ人、一人は韓国人。

 4年もハードな勉強をし続けたエリートは違いますな。多少違和感がある文法を使っていても、書くエッセイは私が見たどのエッセイよりも洗煉されている。質問に適切に答え、アピールも忘れない。学力のある人は何をしても出来るんだなーなんて思ってしまいました。

 そして、質問タイム。あるアメリカ青年が聞いてきます。
「なぜ日本政府は、59年に始めて国債の海外への販売を始めたときに幹事社にボストンクレディティを選んだのですか?」
 しらねーよ。ぼけ。
「そういう細かいことは、知らなくても良いんじゃないかな?ただ、ボストンクレディティが長期的な視点で日本のマーケットにコミットする覚悟があった、っていうことを言えばいいとおもう」
 と無難にこたえました。

 次に、韓国少女。
「なんか、過去の面接で好きな歴史上の日本人を質問されたみたいなのですが、私は、西郷隆盛か、福沢諭吉か、大久保利通か、木戸孝允をあげようと思いますが、誰が良いですか?私としては西郷隆盛か、福沢諭吉なのですが・・・」
 おい。君が好きなのは良いが、君の国籍も考えてよ。
「私、西郷隆盛の生き方本当に好きなんです。あと福沢諭吉の思想も。木戸孝允もいいですね〜」
 頭がいい人は分からないね。
「ま、一応君のバックグランドも考えると、木戸あたりにしておいたほうがいいんじゃないかな。でも、日本の人は近現代史に弱いから、木戸孝允なんていっても知らないかもね。ちゃんと説明できるようにしておいてね」
 と、やはり無難に。
「なんで日本の人は近現代史が苦手なんですか?」
「良い質問だね。よく、そういうことをやり玉に挙げて批判する外国人がいるが、教育の制度上の問題なのですよ。一年間で、原始時代から教えると、だいたい、学期末に時間が無くなって江戸の始めあたりで歴史の授業の時間が無くなるんですよ。それだけの問題。時間が足りなくなるっていうだけよ。」
「ハハハーおもしろいですねー」
「うん。私もね、世界史の先生がローマギリシア史の先生だったものだから、3ヶ月間延々とギリシア史をギリシア語表記で授業させられたよ。日本史の先生も、古代法制の先生だったものだから、延々と大和朝廷だとか、奈良時代前の歴史を半年間続けていたよ。おかげで徳川の『と』の字も見ない間に学年が終わった。ちなみに今をときめくシンゾーも同じ学校だからその程度の教育レベルだと考えられるね」
「アハハハハハ。そうですね、木戸孝允も長州出身のギャップをバネにして近代国家作りの貢献したことをアピールするのもいいですね。あの人けんか嫌いなくせに、実は蛤御門の変では結構活躍してるんですよ?知ってます?おもしろいですね〜」
 
「・・・。(そりゃ、私は偶々司馬遼太郎で知ったが、そんなこと誰も知らないよ。桂小五郎もまさか100年以上経った後に、半島からきた女の子にアメリカ大陸で活躍を褒められるとは夢にも思わなかっただろうなー)」

 なかなか涼やかな感じの美少女なのに、このギャップがおもしろい。

 いずれにしても、面接を受ける企業の資料が5センチくらいの厚さの印刷物にしてすべてにメモと蛍光ペンが引いてあった。すさまじい就職活動だな、って思った。アメリカ人は必死に『尊皇攘夷』のアイディアを理解するのに苦労していた。徹頭徹尾、意味が分からない。

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2006年11月03日(金)
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