思考過多の記録
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2007年12月30日(日) 二つの時間のすれ違い

 芝居が終わってしまった。
 平日の芝居の稽古は夕方からだったため、僕は暗くなり始める頃に家を出て、稽古場に向かう。会社に行っているときは会社から向かっていたのだが、今年は2回の公演ともに家から直接向かうことになった。
 そうすると、大抵夕方の帰宅時間と微妙に重なる。買い物帰りの主婦や、帰宅途中のサラリーマンとすれ違い、また同じ電車に乗る。
 僕の時間はこれから始まろうとしているのだが、周囲の時間は一日の終わりである。その二つの時間が交錯するのだ。
 僕はその感覚が好きである。何故と問われても難しいが、とにかく好きであった。
 会社に行っている頃は、仕事を終えて稽古場に向かうとき、僕の中ではスイッチを切り替えているのだが、時間自体はずっと継続しているように感じられていた。こうして別の次元の時間が重なるようにしてすれ違っていくという感覚はなかったのだ。



 芝居が終わってしまった今、そして年明けからの職場復帰が決まった今、もうこの感覚は二度と味わえないと思うと、少し寂しい。
 やっぱり僕は「日常」の時間を生きるようには作られていないのかも知れない。すれ違っていく「非日常」の時間の中にこそ、僕の居場所がある。そんな気がしてならない。
 しかし、食べるためには日常の時間への復帰は不可欠だ。
 非日常の活動で食べられるようになれば、それがベストなのだが。



 またいつか、あのすれ違いを体感したい。


hajime |MAILHomePage

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