思考過多の記録
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2008年03月20日(木) 不条理な世界

 物価が上がっている。ガソリンや生鮮食品、パン、牛乳と、値上げされたものは枚挙にいとまがない。全て、我々の日常の生活に関わってくるものだ。
 原因は、巷間言われるように、原油高や小麦等の原材料費高である。
 何故それが起きているのか。これも繰り返し分析が行われているように、アメリカの株式市場やドルに投資されていた「投機マネー」が、原油や穀物の先物市場に流れ込み、価格を押し上げた結果だ。
 要するに、金をたくさん持っている連中の「マネーゲーム」の結果が、実体経済を動かし、我々の日常を直撃しているのである。



 世界的な金余りだともいわれる。しかし、我々にはその実感はない。要するに、金持ちが金を使って金を増やし、それがまた金持ちに戻っていく。そこに我々持たざる者が巻き込まれているのである。まったく理不尽な話しだ。
 金が余っているのはごくごく一部の富裕層だが、その連中のために、多くの貧困層が割を食っているのである。
 僕はこれは、金融資本主義の末期的症状だと思っている。



 そもそも通貨というのは、「交換」の媒介項として存在していた。それが、「利息」という金が金を生む仕組みが出来たあたりから、金と実体経済が乖離し始めたと考えられる。何かを買うための手段であったお金が、それ自体商品に化けてしまう不思議さ。これを認めたところから、今日に至る長い道のりが始まったのだろう。
 金融資本主義は、マネーがマネーを生む壮大なゲームだ。サブプライムローン問題を考えてみても、他人の債権を組み込んだ金融商品というものが存在するということ自体、普通の常識では考えられない。これが認められるのは金融市場という閉じられた世界の中でのルールに過ぎない。しかし、やっかいなのは、それが実体経済と乖離しながらも、実体経済に悪い影響を及ぼすことだ。
 そして、ゲームの主導者達には損は波及せず、ゲームに参加していない人間にしわ寄せが来る。不条理としか言い様がない。しかも、この仕組みにより、貧富の差は固定化されていく。
 しかも市場は、オートパイロットで動く船か飛行機のような者だ。誰も操縦できないまま、自動運動は永遠に続いていくことになる。



 はっきり見えてきたことは、資本主義は人間を幸せにしないということではないか。
 かといって、社会主義や共産主義に未来があるとも思えない。
 では、第三の道を探ることになるのか。
 とにかく、このバカげた制度の息の根を早く止めて欲しいものである。それには膨大なパワーと明確なビジョンが必要だ。そんなものを作り出す手間をかけるくらいなら、今のオートパイロットで動くこの船に乗り続けたいと思っている人間が多くいる限り、この不毛なゲームは続いていくのだろう。
 そして、弱者はむしり取られるだけむしり取られ、強者はますます富んでいくだろう。



 これが、我々が望んでいた世界の姿だろうか?


hajime |MAILHomePage

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