思考過多の記録
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2008年11月08日(土) |
青春は遠い彼方へ〜筑紫哲也氏逝く〜 |
ジャーナリストの筑紫哲也氏が亡くなった。 僕にとって筑紫氏は、今はない「朝日ジャーナル」編集長という印象が強烈である。何故なら、ちょうど僕が大学に入学する頃と、筑紫氏が朝日ジャーナルの編集長をやっていた時期が重なるからだ。 あの当時は、毎号のように楽しみにしながら買って読んでいた。 自分の脚本の処女作に、朝日ジャーナルの記事のエピソードを脚色して使ったりもしていた。 筑紫氏が生み出した言葉、「新人類」とは、まさに僕達の世代のことだったのである。
「若者達の神々」や「新人類の旗手達」といったインタビュー記事も、毎号食い入るように読んだ。 いつか自分が「若者達の神々」や「新人類の旗手達」の1人になりたい、いや、なってみせる。 畏れも己も知らない若い僕はそう思いながら、「神々」や「旗手達」の言葉を読んで、影響されていた。 あの雑誌が僕に与えたインパクトは計り知れない。 それを作っていたのが、他ならぬ筑紫哲也氏だったのだ。
報道番組の筑紫氏を、僕はあまり見たことがない。「NEWS23」ではなく、「ニュースステーション」をずっと見ていたからだ。テレビジャーナリズムの開拓者と言われているが、テレビ特有のスピード感を生かすという意味では久米宏の方が勝っていると思ったからである。 しかし、文章を読むと、さすがジャーナリスト、と唸らされることが多かった。一時期ジャーナリズムの世界を目指そうと思ったのも、筑紫氏の影響が結構ある。 常に時代を見つめ、現場を踏み、問題点に鋭く切り込んでいた筑紫氏。しかし、病魔には勝てなかった。
今後、筑紫氏のような反骨ジャーナリストは出てくるのだろうか。 我々は、日本社会にとって貴重な人材を失ったと思う。 勿論、「編集者」とはいいながら、その実態は平凡なサラリーマンに過ぎない僕が後に続けるわけもない。 これから何か大きな事件がある度に、筑紫哲也氏なら何とコメントするかと考えてしまうだろう。
1人、また1人と、僕の青春時代を彩っていた人が去っていく。 その度に、僕の青春時代は遠い彼方の方へ押しやられていく。
筑紫哲也さん、本当にお疲れ様でした。 ゆっくりお休み下さい。
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