朝、チャイムとほとんど同時に教室にすべりこむ。 後ろのドアにいちばん近いしょうこが「おはよう」と言ってくれる。 続いて、その左ななめ前の席のちほが「おはよう」。 しょうこの2つ前で、ちほの右ななめ前が、自分の席。 重たい鞄をドスンと机に置いて、席に着く。 まもなく担任の金子先生がやってくる。 川名くんが号令をかける。 毎朝、こうして私の学校での1日が始まる。
推薦入試、センター試験と説明会が続くこのごろ。 指定校推薦をだれそれが受けるという話題が持ち上がったり、 授業中に他の科目の参考書を広げる子が多くなったり、 のんびりしているうちの学校でも、 いよいよ受験生らしい空気が感じられるようになってきた。 こんな風にずっと続いてきた私の毎朝も、あと少しでおしまいだ。 毎朝だけじゃない。 休み時間の友だちとのくだらないおしゃべり。 たいくつで、先生の喋り方やくせばかりが気になった授業。 放課後の楽しい部活動や委員会。 そんな、学校での毎日までが終わってしまうんだ。 それまで笑い合っていた仲間たちとは離れ、 きっと別の新しい仲間ができる。 私は今の日常を思い出して懐かしむのかしら。 ただひとつ思うことは、 思い出になっていない今を精一杯に生きたいということ。 いつか今を思い出したとき、 自然と笑みが浮かぶようなものにできたらいいなぁ。
|
|