自分の絵を見られることに、なんとなく抵抗があった。 というよりも、恥ずかしかった。 アトリエの先生や生徒はみんな絵が好きだから、 見られるのにはまったく抵抗はない。 仲良しの友達も、私の性格をよく知ってくれているから大丈夫。 問題は、ただのクラスメイトや顔見知り程度の人だった。 私の絵はけっして上手といえる類のものではないので、 「へんな絵」とか「へたくそ」とか思われるのが怖かった。
それでも、最近は学校に絵を持ち歩く機会が増えた。 正確には、絵の写真、だけれども。 推薦の書類に使うので、ポケットファイルに入れて持ち歩いていたのだ。 授業中や休み時間に書類を作ることがあって、 そうすると、みんなやっぱりファイルを見たがるので、 照れながら見せるようになった。 みんな私の絵を見てどんなことを思うんだろうと、ドキドキした。
「すごく優しい絵だね」 これは、美術選択で一緒になった中西さんの言葉。 同じクラスになったことはあるけれど、 そんなに仲良くもないし、私とは雰囲気も全く違う子だ。 けれど、彼女は絵やデザインがとても好きで、 だからかも知れないけれど、私の絵を誉めてくれた。 それが本当に本当に嬉しかった。
他のみんなも、「すごーい」「うまいね」なんて言ってくれて、 私は今までよりももっと自分の絵が好きになれた。
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