マオ・・・・。 と聞いて、「おぉ・・・・『中華一番』に登場する、青い髪をした少年のことだな♪」と真っ先に思う そこのあなたは、かなりコアだね( ̄ー ̄)ニヤリッ♪ しかし、何も今日は、この世で一番中華鍋が似合う少年の話をしたいわけではなく、 今、恐らく、一番世間を騒がせているであろう、才能溢れる15歳の少女のことが話したいんです(笑)。
見てましたよ・・・・GPファイナル・・・・。 ついこの間のNHK杯も欠かさず見たんですけれどね。 あれには彼女は出ていなかったので、その感想は割愛させていただいて、いきなり本題。
SPの時に、あたしゃ、久々にオノレの中に旋律みたいなものが走りましたよ!! いやはや、話題になっているとはいえ、本当にこの子はすごいんだ・・・・と。 フリーはともかく、SPではそこそこの緊迫感でもって、及第点以上を弾き出したと思われる安藤美姫嬢。 彼女の選曲した、「Merry Christmas Mr.Lawrence」の曲調が こんなにも悲しげに仕上がるなんて、新しい発見だな・・・・と思いながら、 テレビ画面からひゅんひゅん飛んでくる美姫嬢のインテンションに、ある種の感心を抱きながら あまりにも訴えかけるものが強くて、こっちまで泣きそうな気分になりながら、 彼女の演技を見ていた。 いや、何の世界にせよ「演技」をする人というのは、見ている人の情動を掻きたてる才能に 凡その才能が左右されてしまうので、美姫嬢も相当の才能の持ち主なんだなぁ・・・・と 一番滑走の彼女に、本当に感動していたわけなんですが。
その後次々に出てくる、若き才能の塊たち・・・・しかも、今期世界で6位までに入った 屈指の実力者たちだけしか演技を披露することができない、究極の大会だけあって、 大変見応えのあるものであった。 が、やはり表現力や力強いスケーティングを総合して考えると、あの化け物のような17歳が 如何に非凡であるかを思い知らされる。 物凄く強いインテンションの持ち主であるということを再認識させられる。 この間のNHK杯でいきなり優勝してしまった、中野友加里嬢も確かに 物凄い実力の持ち主だとは思うけど、何となく「弱い」というか「面白くない」ように思う。 素人目から見て、こちらがどういうふうに思うか・・・・という点で、少し弱いように思える。 確かに、この大会の美姫嬢は少々不安が残り、荒い部分もあったように思うけれど、 それを見事な表現力でカバーして、日本人離れしたダンステクニック、スケーティングで以て 自分の見せ方というのに徹していたように思う。 中野嬢はそういった点で、とても模範的で、悪い言い方をすると少々面白味がない。
さて、そんなSPで5番目に登場した、朱色の可愛らしい衣装の浅田真央嬢。 身体のラインは、本当に悲しいくらいに未完成で(苦笑)、まだまだ少女。本当に可愛らしい。 なのに、彼女が踊った「カルメン」はビックリするほど完成度が高くて、 加えること、こちらが笑顔になるほどに生き生きとしていて、 この暗い世の中に舞い降りてきた、正に「氷上の天使」という言葉がピッタリのお人形のようだった。
何て楽しそうに演技をするのだろう・・・・この子、本当にスケートが大好きなんだわ・・・・。
思わずそんなことをため息とともに思ってしまうほどに、彼女は楽しそうに嬉しそうに 自分の演技をまっとうしていた。 コメンテーターが述べていたが、本当に彼女一人だけ空気が違っていた。 あとの5人は真剣勝負・・・・正にトリノを賭けた「試合」をしているのに対し、 彼女だけそういった雰囲気を微塵も感じさせず、まるでパーティにでも参加しているようであった。
あたくしは自分の表情筋を疑った。
美姫嬢の時には、本当に悲しくなってしまうほどに強張っていたのに、 真央嬢のスケーティングを見ていたら、何だか本当に楽しくなってきて、自分まで嬉しくなってきて、 いつの間にか、凄くニコニコしていたのだ(笑)。うむ・・・・端から見ると不気味かも(爆)。
要するに・・・・そういうことなんだ。 見ている者を幸福な気分にさせてくれるようなものを、日本や世界が求めている、その需要に 彼女はまるで雛形でもとったかのようにキッチリと当てはまっているのである。 しかも、オリジナリティ満載で、抱きしめたいくらいにキュートだ。 15歳という年齢もそれに影響していることとは思うのだが、 15歳にしか表現できない「何か」があるとするならば、彼女のそれは本当にピカ1で、 今世間が言っているように、コレを世界に出さないでどうするんだ??と、詰まることそういうことになる。 彼女があんまりにもトリノにこだわっていないようなので、あたくしは無理に 今までのルールを改正する必要はないと思う。 報道でもあれこれと取りざたされているようだけれど、彼女は自分が好きだと思える演技を、 自分の思うようにやりきった後で、もう一度構成をやり直しても遅くないほどに、 まだまだ時間がたっぷりあるので、ゆっくり完成させていって欲しいと心から願う。
そんな彼女は、自分がまだ「少女」であることをきちんと自覚しているのか、決して背伸びをしない。 無論、技術は、女王スルツカヤを脅かすほどに、超シニア級であることは明々白々となったわけだけれど その他の部分・・・・要するに、表現力の部分で、彼女はあまり「女性」を意識しすぎていないのが 凄く好感が持てる。 脱ジュニアを果たしたことで、大人の仲間入りを意識せざるを得なかったこととは思うのだけれど、 そういう世界の中で、「少女らしさ」をきちんと売っていけるというのは 物凄い冒険でもあり、自分をきちんとわかっていなければ、なかなかできないだろうな・・・・と思うのだ。 17歳にして、かなり肉感的で女性らしいラインを手に入れてしまった美姫嬢と、 今の彼女とでは明らかにタイプが違う。 美姫嬢は、それこそ脱ジュニアを果たしてから、イメージを一新しようと必死にもがき、 挫折や淘汰を味わい、表情にも苦渋の色が混ざって複雑な顔をできるようになってきたのだけれど、 真央嬢はまだそういうのを考えなくてもいいようだ。 恐らく、これから本格的に身体が完成してきて、今までのように自分が思うようなバランスや、ジャンプが できなくなる時期が訪れるかもしれない。 女性のボディバランスというのは、けだしそういうふうにできているのだから仕方がない。 女王スルツカヤのメリハリのあるボディラインを見ていると、彼女のよさと真央嬢のよさというのが 全く別次元にあるのだというのが、非常によくわかる。
フリーで披露した「くるみ割り人形」の構成は、恐らく、彼女でないとダメなのだろう。 本当にお人形のように、軽く軽く、難易度の高い技を次々と繰り出し、 ひょっとしてこの子は、着氷せずに氷上約3mmくらいのところを浮いてんじゃないかと錯覚させるように 軽やか・・・・かといって重心がぶれているわけでもなく、寧ろ、恐ろしいほど安定している。 とうとう、宣言どおり、ノーミスで演技を終えた。何て少女なのだろう!!
案の定、会場の観客たちは、スタンディングオベーション。 そりゃ、ライブで見ればあぁなるのかもな・・・・。テレビで見ているだけでも十分に見応えがあったし。 あれは凄いわ。 スルツカヤや美姫嬢がが苦虫を噛み潰したような、かなり複雑そうな顔をしていたのも頷ける。 素人のあたくしが見ても、幸福感で満たされて、心の底から
「あぁ・・・・いいものを見たなぁ・・・・幸せだなぁ・・・・( ̄¬ ̄)♪」
と思えたくらいだから。
そんな彼女も、ジュニア時代は同じクラブに所属していた美姫嬢や姉の舞嬢に連敗を喫し、 本当に勝てない日々が続いたのだという。 誰よりも負けず嫌いで、誰よりも練習熱心、ジュニア時代に向かえた自立の転機から、 誰よりも本番に強くなる「マオ」が出来上がるまでには、一朝一夕の努力では物語れないようだ。 まだ若いとはいえ、凝縮された困難が彼女の背中にあったりして、 しかし、それを思わせない満面の笑顔と最高の演技・・・・評価されなければウソだ。 いつしか姉は妹の実力に恐れ戦き、銀板とは別にもうひとつの居場所を求め始め、 今やシニアの先輩である美姫嬢のことをも、彼女は実力で脅かそうとしている。 そしてこの日、まるで比べ物にならないポイント差で以て、完全に凌駕してしまった。 「いちばん」になった彼女は、五輪がどうのとかいうそういうのをまるで別のところに追いやって、 本当に本当に嬉しそうに笑っていた。
日曜の夜に、エキシビジョンをやるらしい。 新聞で1カットだけ見かけた、あの「オーバー・ザ・レインボー」のドロシーが見てみたい。 (以前の大会で見逃したので) フィギュアスケートで、こんなにも感動したのは初めてかもしれない。 彼女より倍は生きているあたくしは、凄くいい体験したなぁと、とてもいい気分になりました。
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