Land of Riches
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2025年09月27日(土) |
Not for me |
幕張で聴いた山姥切国広&長谷部のナミダドロップを忘れられない、という理由だけで初めて BOXを買った玖寿のBlu-rayが届きました。花影で刀ミュと本格的に向き合うようになり2年超。 今はドキュメンタリーを見ながら書いてますが、根本的に演出家と思想が合わないんですよね。 そもそもわちゃわちゃバクステではなくドキュメンタリー入っている点からしてそうなのですが。 (刀ステの末満さんも厳しい方らしいがバクステでは明らかにその手の風景はカットされている)
創作物語の本丸の歴史と、現実としての座組の歴史。刀ミュが後者を重視しているのは、 どんなグッズを売る時でも出演歴順に並ぶ(坂龍飛騰までずっと長谷部が最後だった)のでも よく分かります。初登場の花影から長谷部はずっと水江さん演じる長義と一緒なのですが、 人気…倍率の関係でそれが私にはプラスに働いたりマイナスに働いたりします(苦笑)
10周年の博覧会、長谷部の衣装が展示される前期は取れず、行くつもりのない後期まで最速先行を 申し込む羽目になりました。昨日ようやく平日午後で1回分のチケットを確保。選べる入場特典、 長谷部がその日まで残っているか不明瞭です。人気ある男士ですが、物凄くあるわけではなく。 新作公演でのレートは恐らく4番目。我が家にある「るいべ」グッズは大半が自引きではなく、 長義推しが山程買った残り物のお裾分け。でなければ880円でランダムアクスタ買えませんよ。
昨日、東武動物公園へ行くつもりで午後半休取ったのに行かなかったのは、もともと推しがいない イベントだったのに加えコラボチケットなどがほとんど品切れだったのもありますけれど、 刀ミュがどれだけ新しいグッズ(しかもほぼ母数が20以上のランダム)を出してくるのか、 予想がつかないからです。10周年企画以外に年末には新作公演のグッズだって登場しますし。
「へし切長谷部」を好きでいる、ってどういう状態なのかなってことさえ考えてしまいます。
---------- ドキュメンタリー序盤で「本公演の中核を担う」とテロップを付けられた木原さんが、 過去の大型公演、いわゆる祭で三日月や鶴丸が担当していた『他の男士全員を背後に置きながら センターに立つ』重圧に潰れそうになっていた姿が抜かれていました。映画館で編集版の玖寿が 上映された際も想い出深いと語っていた『かざぐるま』は、長谷部が最初に出てきて、他の男士が 公演(または座組。決して本丸ではない)の歴史をたどるように次々と出てきます。
出典たる三百年公演に出演し、玖寿では他キャストの歌唱指導も担当していたspiさんより 刀剣男士の人間離れした生死観(人が花は枯れると当然のように知りながら愛でるような感じ)に 基づいた曲だと語られ、受け止めきれずに泣いてしまった木原さん。彼、泣き虫なんですよね。
刀ミュの男士は人間より上位存在として時には傲慢にも見える振る舞いを見せますが、長谷部は 刀剣男士にあっても人間臭さが魅力の存在。歌うのが楽しくなっちゃう木原さんが垣間見えるのも それはそれで味があっていいと私は思っています。そんな歌うの大好きな木原さんが玖寿稽古では 何が楽しみと質問されても答えに窮するぐらい追い詰められていたのです。びっくりしました。
今年の十周年祝賀祭には三日月も鶴丸もいて、長谷部はone of themに逆戻りして、映像でも あまり抜かれないモブ男士に戻ったのですが…私はただひたすらに悲しかったですけど、 木原さんには悪いことではなかったのかもしれません。Kアリーナに続いて東京ドームでも 見事にソロ曲を歌い上げ、今年8月には達成感で軽くバーンナウトまでしていたようですけれども。
東武動物公園行くために半休取ったのに思うところあってやめたので、ぽっかり空いた午後を どう過ごすか考えた結果、柏市にオープンしたばかりの資さんうどんに行ってきました。 すかいらーく傘下に入り関東でも店舗増殖中ですが、もとは北九州のチェーン店です。
15分ほど店頭で待ち、カウンター席のタッチパネルでオーダーして更に10分ほど待ちました。 ごぼ天を3本添えたかしわうどんとミニぼた餅。資さんのうどんは博多のやわやわでもなく、 讃岐ほどコシがあるわけでもなく、言ってしまえば普通のうどんです。ゆえに全国展開可能とも 言えるわけですが…家の近所で並んでまで食べる物かと問われたら微妙な立ち位置です。 おでんと天ぷらでさくっと夜呑みできるぐらい客足が落ち着いたら、そっちで使えるかも。
帰宅後は先日も触れたTRIA PUNCTUM【わたしを刺す3冊の本】の2冊目を読了しました。 ジュリー・オオツカ『スイマーズ』ー水泳✕介護と私が生理的に嫌悪する話題の掛け合わせで、 自発的には決して選ばない1冊です。小説は一人称か三人称かなんて語られる時もありますが、 自由に混ぜ合わせる手法は独特で、表現としては唸りました。アメリカ産の英文学なので、 訳者の小竹由美子さんが日本語化に際してとても頑張ったとも言えるかもしれません。
思えばまたしても私小説です。繰り返されるなんてことない日常が少しずつ崩れていき、失われる 平穏な日々がどれほど輝いていたか結果的に思い知らされる展開が共通していると感じました。
スイマーズは5部構成で、まず1部が利用者達が地上の生活(それぞれの立場による波乱万丈が 日々起こる)から離れられる地下プールの閉鎖空間での穏やかなルーティーンを、若干排他的にも なりながら繰り返す姿が描かれます。2部ではそんなプールにヒビが入ったという共同幻想(?)に スイマー達が怯えたり慣れたりする経緯が執拗に描かれます。読者感想をwebで読むとこの2部が 割と賛否の「否」を集めがちパートのようでしたが、3部以降の前振りだと後で気付かされます。
ここまで群像劇でしたが、3部から一人のスイマーにスポットが集中します。1部でも利用者から よく名前の出ていた、やや受け答えが怪しい老女アリス。実は脳の萎縮がどんどん進んでおり、 3部では生活に支障をきたすレベルの認知症患者となった彼女が覚えている/覚えていないことが ひたすら列挙されます。最近の生活をほぼ覚えられないアリスですが、幼少期から子育てに至る 忘れがたき出来事は覚えていて、読者は列挙により彼女が太平洋戦争で収容所送りも経験した 日系二世で、初産の女児は奇形心臓ですぐ死亡し、亡骸を献体したのをずっと悔やんでいたり、 その後、娘と息子を得てそれなりの生活を送ることができたのを把握できます。
4部では自宅にメモを貼り付けまくっても生活できなくなったアリスが入居することになった 介護施設の、悪徳ではないがビジネス最優先の方針が延々と説明されます。Amazonレビューで どんな老人ホームの案内よりもこれを読んだ方がいいと書いた人さえいた容赦の無さです。 間違いなくこれも現実。3部〜5部のリアリティは作者の実体験が色濃く反映しています。 施設側としては「はい」しか言わない入居者は手もかからず楽でしょうから…。
ラスト5部は、そんな妻と離れて暮らしても愛は消えない夫と、母の初期認知症から逃げてしまい、 結果として娘としてきちんと認識されなくなり、強い悔いを抱いている『あなた』が描かれます。 この『あなた』が作者の投影です。1部からずっと変わらず丁寧に描写され続ける日常、 その尊さを読者も感じつつ、介護は必ず後悔を生むと読者レビューで書かれていましたが、 失われなければ素晴らしさや輝きに気付けないのか…という苦さも伝わってきました。
少し前まで私の帰省は年末年始のみでしたが、最近はGWと9月の連休も帰っています。 幸いにも現時点で両親は健在ですけど、一緒に過ごす時間は少しでも増やした方が良いかと思い。 先日の帰省中も、母は体調を崩して横になる時間長かったし、父はそんな状態でもコーヒーカップ 一つすら洗いもせず、家事は基本的に母にやらせていました。洗い物したり買い物に出たり、 私は手伝いましたけど…今更言って聞くような父ではありません。祖母の自宅介護を断念させるのも なかなか大変でした。介護も力仕事以外は母のタスクだったので…家族って難しいですね。
2025.9.27 wrote
わんぱく刀剣乱舞のPOP UP SHOPがソラマチで開催されたので退社後に行ってきました。 ついに男士はトータル120振りを超え、各種催事に推しが選抜されるかの確率は上がる一方。 今年もCOCOSや東武動物公園にわんぱく男士が出陣していますけど、長谷部はいませんでした。
秋の街散歩がテーマの今回、珍しく長谷部が黄色い旗を持つ「秋を楽しむ他男士の引率役」として 登場しました。しかもツリービレッジはカフェ併設なのでコラボメニューも出ます。嬉しい! 正直、ようやく秋の気配が生活に忍び込んできた段階で秋を楽しむ心境にはまだなれないですが、 11月に大阪(梅田HEP FIVE)と福岡(キャナル)に巡回する日程なので妥当なテーマです。
グッズショップにも潤沢に再入荷(わんぱくは複数企業が商品化していて、さっぱり再入荷しない 東武動物公園はA3といういつも遅い企業らしい)しており山積み。てくてくわんぱくスリッパの 初期刀たちの山は集合体恐怖症を起こしそうな若干のキモささえ醸し出してました(笑)
カフェでわんぱくBOXと長谷部のブルーベリーヨーグルトドリンクを注文。お弁当は梅おにぎり、 スパムおにぎり、唐揚げ2個、タコさんウインナー2個、卵焼き2個、きんぴらごぼう、レタス、 ミニトマトに紅葉のバラン2枚のとてもわんぱくなボリューム。おなかいっぱいになりました。 Xのフォロワーさんたちは加えてクレープやスイーツも頼んでいて内臓の若さを感じる…(苦笑) 母数10のコースターでは長谷部引けませんでした。そう自引き連発はできないのですよ!
2025.9.27 wrote
そこそこ日本史好きな私ですが、刀剣乱舞を始めるまで戦国時代にはほぼ興味ありませんでした。 毎日実家から金華山に聳える岐阜城を眺めていたのに。天下の行方を決めた合戦の地・関ヶ原も 東海道線で通過した回数は数え切れませんが、一度も下車した経験はありませんでした。
そんな関ヶ原で刀剣乱舞コラボが開催され、長谷部も参戦。『礎の響』で演じる石田三成の足跡を たどるため車で岐阜県〜滋賀県を独り旅した和田雅成さんは現地で初めて刀剣乱舞コラボを知り、 ぬい撮りに励む審神者にスルーされたネタを各所で披露しています。2.5次元舞台デビュー作で 大谷吉継も演じているので、縁深い土地とも言えます。推し俳優にまで訪問で先を越され、 どうにか関ヶ原に行くしかないと思い、9月の恒例帰省に合わせてようやく足を運びました。
駅の出口が古戦場と反対なのも今回初めて知りました。駅前の観光交流館には山姥切国広パネル。 ここでレンタサイクル借りるのが王道みたいですが、今回は徒歩で完結させました。 今回のコラボで出たパネルは8振り。関ケ原町内はともかく、大垣城・南宮大社・養老公園と 車社会の岐阜県らしい散らばり方に苦笑いです。4ヶ所押せば参加特典(今回コラボに選出された 全12振りの戦闘立ち絵カード。縁のある戦国武将の名前や家紋と共に)が1枚、コンプすると2枚 もらえます。実家からの遠征で帰宅時刻に制限があるので、4ヶ所周遊を狙って参加しました。
まずは石田三成が陣を構えた笹尾山へ。地図で見た限りそんな距離にも見えなかったのですが、 山ですから目的地への道も登り。好天にも恵まれ、和田さんも写真を撮った山の上に着いた頃には 汗だくでした。有名な戦場だけあって次々とハイキングやバイカーの人が訪れていました。
石田正宗のパネルは今回行った中では唯一の屋外設置。ここも北国街道を抑えた好位置ですが、 小早川秀秋が陣取った松尾山、そして黒田長政と竹中重門が布陣した岡山(丸山)烽火場も 負けず劣らずのナイスポジションで唸りました。四方から山が迫る本当に狭いエリアで、古代にも 壬申の乱という大きな戦の舞台となった土地。岡山烽火場は関ケ原駅のホームからもよく見え、 少年時代に垂井の竹中家で過ごした経験を持つ土地勘持ちとはいえど、謀略と勇猛の表裏両面で 東軍の勝利を導いた立役者と自他ともに認める長政の位置取りの巧みさを痛感させられました。
道を戻り、関ケ原町歴史民俗学習館に。パネルは歌仙。ここは元々あった町立の施設のようです。 関ケ原関連の蔵書(持ち出す輩もいるようで…)が充実していて、黒田長政の漫画を読みました。 人質時代、加藤清正や福島正則、石田三成や大谷吉継と出会っているんですよね恐らく。
最後はその隣にある岐阜関ケ原古戦場記念館、今回にメイン会場に。こちらは県立の施設です。 床面の「グラウンドビジョン」で東西両軍の当日の動きを学んだ後、座席まで揺れるシアターで 部隊同士の激突や各武将の思惑に触れます。その後に展示物を見て実感を深める構成です。 最後は5階の展望台で戦場を見渡す…ここに勝者たる家康が佩刀したソハヤのパネルがありました。 (実際はシアター上映時刻に合わせ、先に展示物を見ました)
これで4ヶ所クリアしたので、1階に戻り受付で参加特典をもらいました。別館のカフェに移動し、 狙いの黒田長政パスタ…は残念ながら売り切れていたので、石田正宗パフェを食しました。 長谷部はコラボメニューには選ばれなかったのです、残念。ここで特典を開けたら長谷部でした! 12分の1を自引きできてとても嬉しかったです。舞い上がりすぎて食後にグッズショップへ寄らず 帰宅してしまったのには翌日になって気づきました。阿呆です。今回のコラボで長谷部はグッズの 切り絵だけが選抜対象だったのに、買うかどうかは置いておいて一目見ることさえ失念とは。 黒田家の藤巴紋が切り抜かれた美しいグッズ、もし見る機会が今後あるなら万屋本舗でしょうか。 (藤巴紋を背負う姿は先程引いた特典カードで見たい欲が満たされてしまったようです)
戦場の跡たる立地を大々的に売り出しているだけあり、看板も大きくて大変歩きやすい町でした。 和田さんが訪れたのも納得というか。黒田長政が駆け抜けた残り火を確かに感じ取れました。
2025.9.27 wrote
菓子やドリンクを複数買うとグッズをもらえるオタク向けキャンペーンをやるコンビニといえば ローソンとファミマのイメージありますが、珍しくセブンイレブンで刀剣乱舞が登場。 それもONLINE10周年で実装された祝装姿。ショールカラーのタキシードをまとった長谷部も 薬研と共にB5クリアシートに選抜されました。人気男士が並ぶ顔ぶれの中に…ありがたいです。
祝装姿といえば大本丸博のグッズ。しかし、迷った末に私はオーダーしなかったため、実は手元に 1つも持っていません。本丸(ゲーム内)では推し3振り分、即座に課金購入しましたけれども。 昨年終盤、毎日のカウントダウンで審神者をざわつかせ、長谷部が発表された際のスクショは 今も消さずに持っているので、嫌いというわけでもないのですが、色合い的にも結婚式の 新郎イメージを強く感じるのでしょうか(笑) 10周年ロゴのついた今回のシートは嬉しいです。 GiGOの江たい焼き特典コースターは10周年ロゴがついていて、アニメイトカフェの10周年記念 年間シリーズのコースターにはついていないので、どういう基準なのかは謎ですけれども。
…これを書いているのは配布開始から1週間以上経過した時点なのですが、まだ全種残っている セブンイレブンを今日見かけてしまったので、刀ミュはともかく、刀剣乱舞本体はもうそれほど 人気コンテンツではないのだという肌感覚を確かめられたような心地がしたのでした。
2025.9.27-28 wrote
3連休はローソンでの刀ミュ博覧会チケット争奪戦敗北から幕を開けました。Loppiで回線が 混雑して繋がらなくて負けるなんてあるの……最近の刀剣乱舞は倍率上がっているのでしょうか。 大本丸博の桜ステージはまだ根に持っているし、アニメイトカフェも第3弾は3週目でやっと当選。 アニメイトカフェは第2弾までは割と簡単に取れたので、やはり男士の人気格差でしょうか。
チケット戦争敗北者であふれるXで、博覧会と舞台バババの交換ポストを見かけました。 刀ミュの長谷部は初出同期の長義(水江さんas)といつも一緒。プラスに働くこともあれば、 マイナスに作用することもあります。プラスと言ったら怒られてしまいますが、ランダムまみれの 刀ミュなのに長谷部のグッズを等価あるいは僅かの上積みで確定入手できる機会を経験できたのは それだけ自引きするための大量購入した長義/水江さんオタクが存在するというわけなのです。
ランチはXのプロモーションで流れてきたバーミヤンの薬膳麻辣湯。麻辣湯には興味ないのですが、 棗・龍眼・枸杞の実と薬膳の店に行けば口を揃えて店主に勧められる食材が揃って3桁のお値段とは お手軽すぎて魅力です。漢方の体質診断はチェックリストの項目によって結果がやる度に違うので 私にダイレクトに向いている食材って分かりづらくて、だったら万人向けの良い物…となるのです。 店主の蘊蓄を聞かないで体に良い食材が摂取できるのはありがたいです。 (近場の薬膳料理は店主がうざすぎてリピート無しと決めたレベル)
帰宅後は読書。人員削減の7月、更にメンバーが交代で夏休み取る8月を乗り越えて、ほんの少し 心に余裕が出てきたのか、物凄く久しぶりに本を長時間読み続ける事ができています。 BOOKS移動祝祭日という店主が一人で営む本屋が神保町にあり、作者の星座別に本を並べるという 個性的な棚なのですが、この店にホロスコープを見てその人に向いてそうな古本3冊を選んでくれる TRIA PUNCTUM【わたしを刺す3冊の本】なるサービスがあり、刀ミュのドーム公演が1日しか 入手できず、少しお金が浮いたと感じた7月の私が勢いで申し込んでいました。
この日はバーミアンでその中の1冊・野溝七生子の自伝的小説『山梔』を読了しました。 そもそもクチナシにこの漢字を当てるのは中国で、日本では梔子と書くのがメジャーです。 芸術家だった祖父の血が濃く伝わっているのか、家族で交わすとは思えない繊細で神経質な会話が 飛び交う家にあって、最も貪欲に読書(女が本を読むためにちょっとした冒険が付随する時代)に 勤しんだ結果、知的優越により家族との軋轢を抱えてしまった主人公≒作者らしい題名です。
主人公・阿字子は幼少期こそ快活な腕白幼女でしたが、かつて継母に虐げられたトラウマから DV野郎になった父の暴行からの逃避先として読書に没頭し、高尚で聡明な文学少女に育ちました。 DV被害者としての連帯感も込みで親しくしていた母(父に全く逆らえず、父がやるくらいならと 代わりに娘の鞭打ち担当を引き受ける婦人)と3姉妹でしたが、姉は嫁ぎ、兄(彼だけは軍人として 家から離れて育ったのもミソ)は妻を迎えて大正時代の「家」システムに組み込まれていった中、 高等女学校でも高尚さを存分に発揮して級友を寄せ付けなかった阿字子は義姉(有利な状況を 生むために嘘を平気でつく)との舌戦を経て徐々に家族の中で浮いた存在となっていきました。
無垢な幼女の記憶を戦場でも抱え続け尊厳を維持した幼馴染との縁談も自ら断った阿字子は、 高等教育を与えたせいで娘はこうなったのでは…と親が考えて、妹が高等女学校ではなく裁縫学校に 通わされたのもあり(姉と兄嫁も高等女学校出身なのだが)最終的には家出に追い込まれます。
小説としては投稿作品かつ処女作で、文アルに出てくるような大正文豪たちは、素人だからこそ 描けた表現…みたいな褒め方で選出したそうです。物語は家出シーンで終わるのですが、 作者はこの作品以降は短編を多数発表し、戦後は大学の国文科にて学生の指導を行ったそうです。 家族制度に馴染めなかったのか生涯、正式な結婚はせず。ただし私ですら名を知っているような 哲学者と浮名を流したり、外国軍人と夜を過ごしたりとそれなりの経験はあったようです。 戦後は女一人で高級ホテルに住んでいたそうで、生まれた時代を間違えた女性、という印象です。
私も変化を強烈に拒む性分(月星座の影響が強い)ですが、幸か不幸か生きていくため強制的に 変わらされた面はあります。阿字子は年々生活が苦しくなっていった描写はありましたが、 「屋根裏に本を積めるレベルの蔵がある」「お手伝い(婢)がいる」「海辺に別荘がある」 「生活が苦しくなった原因が父が骨董商に騙されていろんな物を買わされたため」とぶっちゃけ 恵まれた生まれで、終盤、義姉に嫁がず、自立もせず、穀潰しになるつもりか…と責められても 私にそんなこと言うなんて死んでほしいのかーと逆ギレします。大人になる必要性も感じず、 結果として大人にならなかった女性。令和の今なら同じ境遇の人いっぱいいますし、この時代に 私は生まれることができて良かった…で片付けることもできますが、それも何か違うのでは、と。
配慮って我慢の美化表現では…?
唐揚げ食べたいと感じて実際に食したら胃がもたれた場合、 心は過去の成功体験から欲求を導き出したのだろうから, 身体の方が今この時を生きている、と言えるのかもしれません。
エンタメ業界は事前ではなくてビジネス、金を稼ぐために運営されています。 そんな『当たり前』にずっと苦しめられていて本末転倒だと強く感じます。 握手と一言程度のために舞台一回分の出費は積めないですよ。
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