2003年11月02日(日) |
エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団レクチャーコンサート |
東京都美術館で大英博物館展が催されています。 これは!と思い前売りを買ったとき、 そのチラシにこのレクチャーコンサートのことが載っていたのでした。 問い合わせたところ、先着順で午後1時から整理券を配るとのこと。 絶対に聴きたい〜!と思っていたので、1時間前に上野へ。 上野の大混雑は今までに見たことがないほどで、 一体今日はどうしちゃったの?状態。
美術館入口から程遠い公園内部にまで 大英博物館展の列が伸びているのを見たときは、本当に焦りました。 絶対聴きたいのに!!お願い、間に合って!! 眉間には皺が寄り(^_^;)、次第に早足に・・・。 無事講堂へ着くと、こちらは意外にも15名ほどしか並んでいませんでした。 一気に眉間に出来た皺がほぐれていくのを感じる私。(笑) ちょっと早く着きすぎちゃったかな・・・。 丸々1時間整理券が配られるのを待ちました。
席は前から3列目!室内楽には丁度良い小さな講堂。もう、ウキウキです♪ 大英博物館展が創立した頃の楽器。 現代のフルートやヴァイオリンと、 この時代のフルートやヴァイリンの違いについて説明がありました。 フルートは木でできており、とっても柔らかい音色。 当時は象牙、陶器、ガラスなどのフルートもあったそう!! 一体どんな音がしたのでしょう??
ヴァイオリンの説明のとき、音の違いを聴かせてもらうことができました。 やはりこちらも音色がとてもソフト。 現代のヴァイオリンは、とても輝かしい音色がするけれど、 当時のヴァイオリンはもっと素朴で柔らかく、耳に優しく響きます。
また、現代の440Hzと当時の430Hzも聞き比べました。 430Hzによる演奏は、とても柔らかで暖かい感じ。 中・高生の頃、私は高めの音程が大好きで、 ピアノの調律はいつも高めで・・・とお願いしていました。 でも、年を取ったせいか、今はこの430Hzがとても心地よく感じます。 都会の刺激に疲れているせいかな?などと思ったりもし・・・(^-^;A 人間社会の発展(情報の多様性、移動手段の発展)が、 このピッチの変化に影響を与えているような気もします。 人間ってやっぱり刺激を求めていくもの。 ピッチが高くなると、音に張りが出て刺激が強くなる・・・。
話が逸れましたが・・・、そんなことを考えながらレクチャーを受けたのでした。 その後、演奏家が準備する間少々お待ちくださいとのアナウンス。 舞台右側に並んでいたカメラが一斉に入り口へ向けられます。 「????」一体なに?誰か来るの?? しばらくして入口から現れたのは、なんと天皇皇后両陛下!! 「うっうそぉ〜〜〜〜っ!」 ミーハーじゃないはずの私(?)は思わず興奮。
道理でなぁんかスタッフみなさんピリピリしていたわけだ!と納得。 たかが美術館のレクチャーなのに、入口で荷物のチェックがあったのです。 いちいち一人一人に携帯電話のことを注意したり、 とにかくこちらがちょっとイラついてしまうくらいの対応だったのです。 お2人に続いて入ってくる関係者、およそ50名・・・(*_*) 以前小泉首相を見かけたときの人数の10倍!ほんとびっくり!
でもね、なにが驚いたって自分の反応です。 天皇制の話題になったりすると、本当に必要なのかな〜などと、 クールな反応をしていた私。 にも関わらず、目の前にするとやっぱり嬉しい。(不思議) やっぱり私って日本人なんだなぁ〜、とヘンな納得をしたりしたのでした。
と・・・またまた話がずれてしまいましたが、 この後の演奏は、本当にすばらしいものでした。 1曲目はモーツァルトのフルート四重奏曲第1番ニ長調です。 この小さな講堂の前から3列目で聴く室内楽。 最高のシチュエーションです。 ロ短調の2楽章、「やっぱりモーツァルトの短調はいい〜〜!」と ソフトなピッチカートをめいっぱい堪能したのでした。
そして2曲目。これらの楽器が西洋で活躍していた頃、 日本は丁度江戸時代でした。 ということで、江戸時代の楽器「尺八」とのコラボレーション。 滝錬太郎の主題による尺八、ヴァイオリンと弦楽のためのセレナード「桜に寄す」 柿沼唯という91年に出光賞を受賞した作曲家の作品です。 なんとなんと、日本での演奏はこれが初演とのこと! とはいえ・・・実は現代曲って苦手な私・・・。 だって、美しいと思えるメロディがあるわけじゃないし、 わけわかんないハーモニーばかりだし。(まるで素人ぢゃ・・・(^-^;A )
ところがところが、この曲すばらしかったのです!!最高だったのです。 尺八の唸るような風の音と、弦楽器の弦をこする音。 メロディがどうだとか、ハーモニーがどうだとか、そんなのではなく、 音そのものに聴くものの気持ちを鼓舞するような、すごい訴えかけがあるのです。 山のような波のようなフレーズの繰り返しで気持ちが最高潮に高まったとき、 突然あのメロディが聞こえてきました。「荒城の月」です。 聴く人によっては、なんてくさい演出と思うかもしれませんが、 私にはそんなクールなこと言ってる余裕などなく・・・、 その望郷のメロディとハーモニーにやられてしまいました。(ほんと) 思わず瞳がうるうる・・・泣いてしまいました。
この曲には、先日ミューズ図書館に投稿した 「日本人の呼吸」が息づいているように感じました。 天皇皇后両陛下に愛着を感じている自分を発見したこと。 この作品が自分の琴線に触れたということ。 今回のレクチャーコンサートは大英博物館展のオプションだったはずなのに、 なんだか日本人ということをひしひし感じさせられたレクチャーだったのでした。
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