無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年07月19日(火) 明日更新できるかどうかは分からない/『サーティーガール』1・2巻(岩崎つばさ・カワイシンゴ)

 さてまた、1ヶ月ほど間が空いてしまったが、まあ、いろいろ忙しかったりバテテたりしていたのである。その間の事情については、更新できたらします。
 でも、映画や演劇やマンガの感想書いてたらキリがなさそうだな(笑)。
 洋画の話題作では『バットマン・ビギンズ』がドンデン返しが利いててまあまあだったくらいで、『宇宙戦争』は原作の精神壊しちゃってて骨がねえし、『スター・ウォーズ シスの復讐』は「所詮は痴話喧嘩かよっ!」てな感じで卑俗だし、予測通りではあったけれども今のハリウッド映画じゃ金掛けたってこの程度のウス味のものしか作れない。だったら『さよならさよならハリウッド』のウッディ・アレンみたいに小粒の秀作を量産してほしいもんだ。
 逆に日本映画は一般の評価は低かろうと、『逆境ナイン』『姑獲鳥の夏』、ともに面白かった。『逆境』はマンガの面白さを実写に移すことには決して成功はしていないけれども、単体としてよくまとまってるし、なにより藤岡弘、がいい(笑)。『姑獲鳥』は、映像化不可能なトリックをある趣向で一応はクリアしている。ただ、それに気づかない一般客の方が多いんじゃないかとは思うが(笑)。一番ツボにハマッたのは『イン・ザ・プール』。伊良部一郎の胡散臭さは、テレビ版の阿部寛よりより松尾スズキの方がずっといい。もっとも出番が主役って言ってるワリにすごく少なかったけど。『電車男』は部分的に映像の面白さが目立つくらいで、話自体は他愛無い。でもだから「総オタク化」が進みつつある現代人には受けてんだろうな。
 あ、でも『戦国自衛隊1549』はやっぱりSFファンには薦めません。福井晴敏の原作は読んでないけど、映画はお話そのものがもう矛盾ありまくりで正視に耐えない。役者もいい役者さんすらヘタクソに見えるのはどうしてくれるってなくらいで。
 芝居は寺山修司の『奴婢訓』の再演がやっぱりショッキングだった。これだけのものが20年前に作られてるんだから、現代の演劇人はもっと自己反省して頑張らないとね。テレビで見た演劇ではラーメンズの『アリス』が意欲的でしかも面白かった。見てない人には何のことだかわかんないだろうが、「風が吹いたら桶屋がボーカル」ってギャグがもうツボにハマッてよう(笑)。
 えーっと、語り忘れはないかどうか。
マンガと小説に関してはもう読んだのが半端な量じゃないんでパス(涙)。『蟲師』や『デスノート』の新刊についても書いときたかったんだけどね。


 このところしげはずっと、「エコロジーな缶詰ワールド」(ラクーンドッグさん主宰の劇団である)関係でモメていて、一緒に続けるか辞めるかとか、ゴタゴタしたあげく、ついに昨日、ケンカ別れのような形で正式に辞めてしまった。
 その間の事情については、私は殆どしげからしか聞いていない。一方的な主張だけを聞かされているわけだから、どうしたってドッグさんの方がワルモノになってしまう。聞いてるだけだとあまりにドッグさんが理不尽な行動を取っているようにしか聞こえない(つか、社会生活が営めているとはとても思えない)ので、逆にしげの言葉の信憑性が疑われてしまうのだ。これではとてもどちらがいいの悪いのって客観的な判断はしかねる。
 演劇関係者なんてものは根拠のないプライドだけは高いものだから、所詮はどっちもどっちってとこなのだろう。少なくともしげにトラブルを回避しようとする意志と判断力が欠けていたことは事実だ。本人は冷静なつもりでも、感情を優先させた言動を繰り返していたことは話を聞いただけで分かる。しげはすぐに「言葉が通じない相手」とドッグさんを非難するが、だいたい、「コトバは相手に通じるものだ」という幻想に囚われている時点で、演劇人としては失格ではないか。
 結局はお互いのコトバがすれ違いまくったのが原因なのだなということがしげのこの発言から理解ができる。

 言葉とは自分の意志を伝える手段ではなく、相手の意識をある方向に誘導するための手段である。あるいは、自分の言葉が相手にどう受け取られるかを見て取ることで、お互いの「文化」としての「言語フィールド」を確認するための手段である。間違っても、「話しあえばいつかは理解しあえる」なんて考えちゃいけない。
 その人の言葉はその人のこれまでの生活環境、経験によって培われた独自のものであるから、実は自分以外の人間には全く通じない。それが「通じている」ように錯覚するのは、表現上、「コトバのカタチ」が共通しているからにすぎない。自分の使う言葉の概念が相手のそれと一致しているわけではないということを常に自覚し、相手の言語フィールドがいかようなものであるかを類推し、自らのフィールドも相手に類推させるようにして喋らないと、そもそも会話というものは成立しないのだが、その自覚のない人間がいかに増えていることか(最近の「言葉の乱れ」の原因はこの点にある)。一つの言葉が、相手によっては「傲慢」と「謙虚」、全く逆に受け取られることだってあるのだが、イマドキの若い人は、“そんなことも知らない”。

 ドッグさんの芝居を見てみると、ひとりよがりで自家撞着な表現が続出していて、「ああ、この人も言葉に対する自覚がないのだなあ」ということが見て取れるのだが、こういう人がコミュニケーション不全のしげと会話を成立させることは至難なわざだろう。自分の方にも表現の不手際がどれほどあるか、具体的には理解できていないに違いない。逆にしげとの会話の中で「自分の言葉がいかに無力であるか」ということに気づければ、もちょっとマシな芝居が書けるようになるんじゃないかと期待してたんだけど。
 福岡の演劇ウェブサイとなどをいくつか見てみると、ドッグさんの芝居、とんでもなく酷評を食らっている。ウチの劇団への批判などかわいいくらいのものなのだが、その原因がどこにあるか、表面的な演技力不足に起因する程度にしかドッグさんは考えていないのではないか。それどころか「演劇の基本が理解できていない」ほどのテイタラクなのだが、自らの謙虚さが高慢に受け取られる可能性だってあることに理解が至らない状態が続くのであれば、今後もマトモな芝居は書けまい。残念ながらそこまでのスキルをドッグさんに求めるのはムリだったようである。別に演劇人でなければそこまでのスキルは必要ないんだけどね。
 こういう言葉についての「常識」も、昔はいちいち口にする必要がなかったんだけどなあ。


 連休前に仕事がひと段落着いたので、出勤してても精神的には結構ラク。
 仕事の合間に時間もできたので、東京のグータロウ君ともメールのやりとり。私の携帯はもちろん私の私物ではあるのだが、しげには全て内容をチェックされている。そのことを書いて送ったら、グータロウ君は驚いていた。あちらのご家庭では、奥さんはいちいちそんなことはされないらしい(つか、それが普通だよな)。
 だいたい、メールの内容をいちいち心配するというのは「浮気性な男」を夫に持った妻だけだと思うのだが、私のどこをどう見たらそれに該当するというのか。それに私が本当に浮気をするのであれば、もう一つ携帯を使って、しげに見つからないところに隠しておく。けれど、そんなめんどくさいことまでして浮気したがる性格かどうか、私を見ていれば分かりそうなものだ。
 つかよー、お前とつきあってるだけで精神的にも肉体的にも疲労しまくりだってのに、なんでさらに疲れるような人間関係をさらに構築せにゃあならんのか。俺は「浮気で癒される」なんて幻想を信じられるほど落ちちゃいねーぞ。
 そのへん、納得できないあたりもしげのココロが壊れている証拠なのである。


 マンガ、岩崎つばさ・カワイシンゴ『サーティーガール』1・2巻(白泉社)。
 日立のオール電化キャラクターが人気を呼んでのコミック化。ちょっとは広告マンガも入ってるが、殆どは“突撃爆走主婦”湯神リリコ(30歳)と、人語を喋れてパソコンも自由自在のスーパーキャット・ジョーズ、そして湯神家のゆかいな人々およびご町内のみなさんのドタバタを描いたギャグマンガだ。
 登場人物がやたら多くて、思いっきり丸っこいアニメ絵なもので、パッと見、キャラクターの区別がつきにくいのだが、何度か読み返していくと、猪突猛進でオトコマエな湯神家のヨメ・リリコに、猛烈にお喋りで家事能力ナシの長女・加奈子、しっかりものだけれど食い気爆発の次女・奈緒子など、個々のキャラクターの区別がついて面白くなってくる。
 ジョーズが喋れることはリリコだけのヒミツなのだが、実はパソコンを介して奈緒子とジョーズがマブダチになっているのが笑える。リリコは小学校の教師だったのだが、教頭とトラブって辞職、今は専業主婦の生活。家計を助けようとネットでイラスト販売をしようとしたジョーズとリリコが大喧嘩したことなどもジョーズは奈緒子に愚痴るのだが、まさかそれが自分ちの飼いネコと義理の姉のことだとは想像もつかないのだね(当たり前だ)。同棲中のカップルだと思っているのである。ついに家出したジョーズの告白に、奈緒子は「そんな女とは別れろよ!」と頭をかきむしるのだが、だからそれはキミの義姉なんだったば(笑)。
 このあたりのエピソードが面白いのは、ちょっとSFっぽくなってることもある。家出して、野良ネコの群れに取り囲まれたジョーズを助けるために飛び込んでいったリリコに、じょーずを触媒にして、突然、猫語が理解できるようになるのだ。この設定がさらに展開していったら、広告マンガ初のSF大河ドラマになりゃしないかとちょっと期待したのだが、すぐに普通のご近所ドタバタマンガに戻りました。ま、そりゃそうだわな。
 でも、まっすぐで凛々しくて、、天に代わりて不義を打つ(笑)リリコさんの活躍を読んでるだけでも清々しい。こういうマンガならまさにテレビアニメに向いてると思うんだが、日立以外のスポンサー、付けようがないからかえって難しいかもなあ。

2004年07月19日(月) 脳髄のとろけた女
2003年07月19日(土) 水害という名の人災/DVD『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX/笑い男編』
2002年07月19日(金) 踊る大脂肪/映画『MIB�供戞拭悒錺ぅ蛭如”�雲児たち』3・4・5巻(みなもと太郎)ほか
2001年07月19日(木) 天ブラサンライズ/『吼えろペン』1巻(島本和彦)/DVD『サウスパーク無修正映画版』ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)