無責任賛歌
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2005年09月08日(木) |
なーいないない金がない/『鉄人28号 皇帝の紋章』3巻(横山光輝・長谷川裕一/完結) |
タイトルは『ないない音頭』(by熊倉一雄)から。全く、こんな名曲がいつまで経ってもカラオケに入らないとは、世のオタクはちゃんとリクエストしているのだろうか。 しげの日記にも書いている通り、今月はかなり財政がピンチなのである。 もちろん、アソビにばかりカネを使っているからそうなるので、言い訳なんかできないし、同情されることではない。 でも、我々とて一応モノは考えているので、本を買うにしても映画を見るにしても、ある程度は計算していて、予算オーバーにはならないように気をつけていたのである。見たい映画も涙を飲んでテレビ放送を待つようにして、今月はかなり控えている。 だから、しげが「金がない」というのがどうにも解せなかった。まだ充分余裕があるはずだったので、「どうしてだ?」と問いただしてみた。 「車検があるの忘れてたんで、それで予定が狂ったんよ」 「日ごろから人に無駄遣いするなとか言ってるくせに、なんだよ、それは」 「じゃ、あんたは金あると?」 「ないよ」 「なんで?!」 「定期が今月で切れるの忘れてた。昨日買ったから、もう金がない」 「あんたも無計画やん!」 まあ、バカ夫婦ここにありである。この日記は我々の恥もセキララに書くと決めているので、ご紹介した次第であるが、恥曝しはまだこれでは終わらない。 しげがおもむろにこう言った。 「ねえ……」 「なんだ?」 「ハカセの結婚式のご祝儀、減らさない?」 ……ごめん、ハカセ。フクロが薄いけど、お祝いより自分たちの生活の方が大事だ。
各地に甚大な被害をもたらした台風14号、ようやくオホーツク海へ抜けて温帯低気圧に変わった。現段階での死者は20人、行方不明者は7人。自然災害だから諦めなきゃならない面があるにしろ、「事前に来ることが分かっている」のに、どうしていつもいつも犠牲者が出てしまうのか、どうにも歯がゆく、納得ができない。 特にやりきれないのは、山口県岩国市の山陽自動車道の「のり面」が崩れた事故だ。新聞写真を見てその規模の大きさに驚いたのだが、長さ50メートル、幅15メートル以上にわたる盛り土で建設された高速道路ののり面が、上り線の路面ごと崩れ落ちたのである。この事故で、崖の下にあった家ごと三人が生き埋めになり、二人が遺体で発見された。開通後13年を経て、盛り土も充分安定していたのに、この始末である。耐震建築などもそうだが、どんなに人間が知恵を振り絞って自然に対抗する手段を考えても、それ以上の強大なパワーを持った自然が押し寄せてくれば、ひとたまりもないのである。 日本の台風よりもはるかに被害甚大なアメリカのハリケーン「カトリーナ」であるが、こちらのニュースはいっこうに私の心に染みてこない。対岸の火事だからと言えばそれまでなのだが、救援の遅れやら略奪やら被害者の見殺しやらの殺伐としたニュースを立て続けに聞いていると、同情よりも先に「結局、あの国はそういう国である」と、国そのものに対する反感の方が先に立ってしまうのである。老人ホームの人たちを見殺しにして係員が全員逃げたって、そりゃなんだよ。ここまで無慈悲な事件はさすがに日本じゃ起こらないと思う(思いたい)。 日本の治安だって、アメリカ並になってるじゃないかという意見もあるようだが、まだまだそこまでのことはないし、これからだってあそこまで悪くはなるまいと考えるのは楽観的に過ぎるだろうか。
グータロウ君が、またヒビキ30話について、日記で絡んできた。 あっ、この野郎、個人攻撃に走りやがったな。そうだよオレは「何様」だよ(笑)。 って威張るつもりはないんだけれど、再々反論する意味はなくなっちゃったようなので、これだけ言って終わりにしとこう。「脚本の話しかしてないのに」っていうけどさあ、こっちは「脚本の話だけするんじゃねえ。それが、見方が『狭い』ってことなんだよ」って言ってるんだから、そこで「俺たちはあえて狭い見方をしてるんだ!」なんて卑屈に威張るんじゃねーやな。イタいオタクを演じられるってことは、即ち自分がイタいオタクだからだ。 もともと、「ありゃヘンな脚本だったよなあ」って意見じゃ一致してるんだから、絡んでくる必要なんてないのに、勝手に私が「井上脚本を擁護している」なんて思いこんだ時点で大勘違いなんである。だから、「困ったなあ」と書いたのに、全く、鈍感もここまで来ると罪である。 カトウ君はカトウ君で、自分の主張は全部「主観」と逃げを打って(これがどれだけ人を馬鹿にしてるかってことに気が付いてるのか?)、しかも「けんちんさんがあまりにも『井上氏の響鬼以外の活動』を引き合いに出してくるからです」とかデタラメ書きやがるし。そりゃ先にカトウ君がやったことだってーの。「響鬼以外の活動」を想定してなきゃ、どうして「井上脚本だめだ」と口にできるかね? 自分の言葉が何を意味してるかまるで理解しちゃいない。「リンク貼るな」なんて妙な正義感まで発揮するし、「何かにハマることでモノが見えなくなっている」典型だ。 カトウ君が私にぶつけてきた言葉は、全部カトウ君自身に帰せられるものであって、結局カトウ君は「自分はこんなにイタイやつ」だってことを告白しているに等しい。彼が名指ししている「けいちんさん」というのは私のことではなくて、彼の妄想の中にだけいる存在しない私なのである。全く、鏡に向かって文句ぶつけてどうするかね。 カトウ君のおしゃべりを聞いていると、「ああ、この子はずっとこうやって一人相撲ばかり取ってきたんだなあ」とそぞろ寂しい気分にさせられてしまうが、まあ、オタクが辿る道はだいたいこうしたものなのである。 グータロウ君も、カトウ君も、一応『響鬼』を愛しちゃいるんだろうけれども、押し付けがましい愛は(押しつけてないと口にするのが一番押し付けがましいのである)大きなお世話でしかなく、相手からは鬱陶しく感じられるだけであろう。まあ、番組は番組で、ファン同士の諍いなどどこ吹く風とばかりに超然とそこにあるばかりだろうがね。
しげが、「グータロウさんとケンカするの?」とハラハラしているが、おたがい四十を越してそんな体力気力はとうに尽きてるんで、このへんで「もういいよ」に流れるよ。それでも何かしらシコリが残るんじゃないかと心配しているようなのだが、たかがテレビ番組のことでそんなことになるほど私はバカではない。向こうはどうか知らんが(笑)。 我々はもう、大切なこともそうでないことも、たいていのことは一晩寝れば忘れるようにできているので、しげの心配は杞憂だろう。老人力じゃないが、過去のことに拘らなくなるってことを、年取ることのプラス面だと考えるようにしよう。それってつまりは自然にオタクではなくなってしまうってことだがね。
マンガ、横山光輝原作・長谷川裕一漫画『鉄人28号 皇帝の紋章』3巻(完結/講談社)。 発売されて随分時間が経ってるんだけれども、ようやく入手。ネット注文もできない品切れ状態だったんだけれども、手に入れてみれば初版だよ、これ。売れ残ってたわけじゃなくて、いったん返本されたのがまた書店注文で取り寄せられたようだから、売れてるんだか売れてないんだかよく分からないのである。部数あまり出してないことは間違いないな。くそ。 ギャロン、ギルバート、ケリー、そして最後の敵はやっぱりロビー。紋章を巡る戦い自体は第九話でいったん終わり、フランケン博士は劇的な(本当に劇的な!)退場を見せ、博士の「遺産」はアリスに受け継がれる。しかしそれは物語の終わりではない。 アリスが背負わされた「運命」の決着、そして“意志を持つロボット”ロビーの語る「ロボット戦争」の真実。エピソードが連続していた前巻までと違って、やや散発的な印象になってしまったが、これぞ「正しいロボットマンガ」という印象は揺るがない。 『鉄人28号』の物語が、今、なぜ語られなければならないか、その答えは、今は亡き金田博士の言葉に集約されている。
〉「戦争が終わったって、それで全部が終わりじゃないじゃろう? 人間は、その先だってずっと生きていく。その時、こいつ(鉄人)の力は役に立つじゃろう。だからわしが造っとるのは“でっかい人”なんじゃよ。人間なら、その手に銃を持つこともあるじゃろう。だが、それを鍬や鋤に持ち替えることも……。花を持つことだってできる。こいつに今、何かを持たせちゃいかんよ」
なんか「魂の言葉」を聞かされたって気になるなあ。この思想が、現代の、様々なロボット開発に繋がっているのだと言えるね。私ゃ「癒し系ロボット」なんて何なんだよって感想を持ってはいたんだが、そうだよな、「全ての科学技術は容易に戦争に結びつく」という思想を否定するんであれば、「犬型ロボット」だって許せちゃうのである。 もちろん、マンガは思想を語る道具じゃない。しかし、マンガから思想は自然に表れる。ロボットマンガは純粋にエンタテインメントであることが私にとっては理想なのだが、物語を支える思想が右だの左だのといった狭苦しいものでなくて、ただひたすら人類の未来を信じるものであるなら、物語は決して破綻しないのだ。 同じようなコンセプトで始められていながら、少年探偵どころか辛気臭いとっちゃん坊やになり下がった正太郎が愚痴を言うばかりの今川泰宏監督アニメ版は、横山光輝の名前を冠するに値しない糞アニメであった。横山さんの衣鉢を継ぐ『鉄人』は、ここにある。
しかし、個人的に一番のツボだったのは、敷島博士と大塚署長の次の会話だったりする。
〉敷島「正太郎は私の娘のマキと結婚させるのだ!」 〉大塚「あんた娘いないでしょうがっ!」 〉敷島「え? あれ? でも正太郎くんは将来有名なロボット学者と結婚するって決まってるから」 〉大塚「何 混乱しとるんですか?! あんたは?」
『鉄人』アニメ化の歴史がいかに黒歴史であったかを象徴するような会話だね(笑)。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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