くやしいけれど、今でも彼の夢をみる。私を見つめてくれたこと。私を抱きしめてくれたこと。私にキスしてくれたこと。そのひとつひとつが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。そのたびにせつなくなる。まるで私は恋をしていたかのように。ベッドの中で何度もキスを重ねたあの日、私は快感のカケラさえも見つけられずにいた。あの人とのキスを懐かしく思い出す。彼とくちびるを重ねながらも私は哀しいほどの物足りなさを感じていた。迎えるべくして迎えた結末なのかもしれない。ただ、悔しさは残るけれど。