人のぬくもりを感じながら眠ったのはどれくらいぶりだろう。 息をひそめて、自分以外の人間の体温を感じて。
ぼんやりとした眠りのまま朝を迎えたけれど なにごともなかったことに安心してまた眠ってしまう。 隣りにいる男の人に寄り添ったまま。
キスを何度も繰り返して 抱きしめられるぬくもりを感じながら 私は別の人のことを考えていた。 相手に対して失礼なことだとはわかっていたけれど。
この人との「続き」がこれからあるのかどうかわからない。 期待しては裏切られることの繰り返しだったから もう期待することさえ怖くなってしまったのかもしれない。
並んで歩くときの身長差とか ほのかに感じる匂いとか ちょっといいかな、と思ってはいるけれど。
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