昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年01月29日(土) 月が、いつまでも明るくて

 昨日にまして暖かい日。夕方までは晴れ時々くもり、夜に時雨れる。
 午前中は家でゴロゴロ、洋服の整理、アイロンかけ、台所の掃除などする。電話帳の交換と、久々に新聞の購読勧誘の人が訪れた。新聞の勧誘は、わたし新聞紙アレルギーなんです、触ると蕁麻疹が出るんです、と言って追い帰す。これを言うと、だいたいの人は変な顔して黙って帰る。

 午後からひとりでブラブラおでかけ。自転車で梅田まで出てドトールでお昼を食べてから、北新地駅から東西線に乗って伊丹まで行き、伊丹市立美術館で「ジャック・カロ版画展」を観た。伊丹の美術館に行くのは初めて。街中にあるとは思えない静けさと、庭の見えるロビーが落ち着く。
 ジャック・カロは、聖職者になれという父の命令を振り切って、芸術の道に邁進した人らしい。版画はどれも細部までみっちり描きこまれてて、実に見事。貴族も乞食も、役者も兵士も、みな生き生きしている。作品がみな小さいので、顔を近づけて覗き込むようにして観る。
 同時開催している、ゴヤの版画がこれまた凄い。圧倒される。ジャック・カロの影響をうけて創作された『戦争の惨禍』の作品群は、戦争に対する、ゴヤのすさまじい怒りの表現だ。オレはメチャメチャに怒っているぞ!、というのがビンビン伝わる。来場者がほとんどいなくて、空いていてゆっくりまわれるのはいいんだけれど、こういう渾身の作品をもっと多くの人に観て欲しいとも思う。
 下の柿衛文庫で「短冊の美」という展示も観ていく。武原はんによる、『舞』という字が良い。凛々しい一文字。島村抱月は薄い色の短冊に『愛惜之心』と書いていて、これも儚いような字でステキだ。横には松井須磨子に手による短冊もあって、どこまでいってもこの二人はワンセットだなあ。
 伊丹美術館は、フラッと来てみただけだったのに、なんか大いに堪能してしまった。

 阪急電車で大阪に戻り、「i feel」を買うため梅田の紀伊国屋に入ってみるが、あまりの人の多さに頭に来てすぐ出てしまい、テクテク堂島まで歩いて、ジュンク堂で3冊本を買う。
 第3ビルの前に置きっぱなしにしていた自転車に乗って、天神橋筋商店街へ。明日は定休日なので安くしとくよ、と八百屋のお兄ちゃんが言うので、小松菜と九条ネギ、水菜とトマトを買った。それから天牛書店で古本を見る。「島尾敏雄事典」で知って欲しかった「島尾敏雄による島尾敏雄」を380円で、同じシリーズの吉行淳之介版も同じ値段で見つけて、2冊とも購入。写真もふんだんに収録されてて、お買い得であった。
 京橋の紀伊国屋で無事「i feel」も手に入れて、カレーを食べて帰る。カレー屋のおばちゃんが、「明日から近年にない、ものすごい寒波がくるんやて!」と言ってたがホントかな。「車も電車も飛行機も、全部止まってしまえばいい!」などとも言っていた。おばちゃんは、世の中に何か恨みでもあるのだろうか。

 夜。買ってきた本をどれもパラパラと読む。島尾敏雄の文章はどれもカッコいいな。

・購入物:池澤夏樹「世界文学を読みほどく・スタンダールからピンチョンまで」(新潮選書)
     目黒孝二「笹塚日記・うたた寝編」(本の雑誌社)
     大塚英志「戦後民主主義のリハビリテーション」(角川文庫)
     「i feel」冬号(紀伊国屋書店) ここまで新刊
     吉行淳之介「吉行淳之介による吉行淳之介」(青銅社)ここから古書
     島尾敏雄「島尾敏雄による島尾敏雄」(青銅社)

・朝食:卵とじうどん、りんご
 昼食:ドトールにて。チェダーチーズとツナのホットサンド、珈琲
 夕食:印度屋にて。厚切り牛肉にポテトと玉ねぎをトッピングしたカレー


フクダ |MAIL

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