昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年02月20日(日) 二度ともどれない

 寝すぎにより、貴重で楽しい「日曜日の午前中」という時間を失った。信じられへんと思うけどもう12時やで、とTが起こしにやって来るまでコンコンと眠っていた。不覚なり。
 トーストを一枚食べて、それだけでは足りなくて餅も焼いて食べる。お正月にもらった餅はまだなくならず、冷凍庫でボチボチ邪魔になりかけている。
 くもりときどき晴れ。風が冷たくけっこう寒い。モコモコセーターを出してきて着込む。

 掃除。ぬるま湯をバケツに入れて、玄関先をみがく。外の戸と、道路に面した窓も拭く。通りがかりのおばあちゃんが、いつもていねいにキレイに掃除してはってエライねえ、と褒めてくれた。ホント?お世辞でもうれしいよ。ていねいじゃないけどね、キレイにはしてるつもり。
 その後、台所を片付けている時、手がすべって、大切にしていた伊万里の蕎麦猪口を割ってしまった。持った時の感触と深い赤の染付が好きだった。さっき餅を食べながら煎茶を飲んだのが、この蕎麦猪口との最後の付き合いだった、そうと知ってたらもっとゆっくりお茶を飲んだのに、最後の瞬間が何時なのか絶対知ることはできない、それに備えて心の準備することはできない、誰も彼も何もかもが突然失われて突然去っていってしまう…、というようなことを考えていたらものすごく寂しくなって、生きていくのがイヤになった。

 あまりに気がふさぐので、山下達郎のラジオを聴き、次いで「モロ・ノ・ブラジル」のサントラを聴きながら、トイレ掃除とお風呂掃除をし、Tと連れ立って、歩いて片道20分くらいかかる近所のスーパー「イズミヤ」まで晩ご飯の買物に行って、帰りに屋台でたこ焼きを6個買って公園のベンチに座って食べ、何にも買わなかったけれど本屋さんで立ち読みをしたら、気持ちが徐々に上向きになってきた。割れた蕎麦猪口は新聞紙にくるんでゴミに出した。
 
 夜。本棚の整理を行い、奥のほうから出てきた、懐かしい懐かしい気が遠くなるほど懐かしい、石井桃子の「ノンちゃん雲にのる」を読んだ。幼き頃、何度も何度も読んだ本。やっぱり素晴らしくよかった。ふくよかな家族の風景。置いてきぼりにされたノンちゃんが泣き叫ぶところは夏休みに畳の上で扇風機を回しながら読んだなあ、とか、池に落っこちちゃうところはコタツに足を突っ込んでうずくまりながら読んだなあ、とか、昔読んだ時の思い出とともに話を追っていくのが言葉にできない愉しさだった。
 
『その朝、ノンちゃんは、その日のおてんとうさまとおんなじくらい、はればれと目がさめたのです。
 トントン、トントン、トントントン……
 お勝手で、おかあさんが、おみおつけのダイコンを切っている音がしました。ノンちゃんの胸が、なんということもなく、うれしさでぷうとふくれました。まな板の上にもりあがる、水けをふくんだまっ白い、四角い、細い棒の山を心にえがきながら、ノンちゃんはもう一ど目をつぶって、ぼうと、朝寝のあと味をたのしんでいました。』

 という、日曜の朝の光景がすごく好き。来週はちゃんと早起きしよう。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、焼餅1個、ヨーグルト
 昼食、というかオヤツ:たこ焼き6個
 夕食:鶏肉とゴボウと人参とコンニャクと大豆の煮物、湯豆腐、ホウレンソウのおひたし、炙りスルメ、麦酒、ごはん

 


フクダ |MAIL

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