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2007年12月07日(金) 着付けマダム7回

非常勤先Bと着付けマダム。
なんかだれていて、いきもかえりも地域の巡回バスを利用してしまう。教室に行く途中、同じ方向に歩く学生のにぎやかな声を聞きながら後ろを歩いていると、突然「先生だれ?」「れいこさん、なにがしれいこ先生」という声が聞こえてきた。へぇ、私って学生からファーストネームで呼ばれてるんだ。面白い。私は大人気ないので「それは私のことですか。」と後ろから声をかけ、話に混ぜてもらう。授業回数も終盤。授業に身の入らない人達はすでに挫折してすでにドロップアウトしてくれたので、最近はかなり集中して授業に取り組めるようになってきた。

急いで家路に着く。着付けマダムのお茶請けには乗換え駅で最中を買うことにしたので、今日はケーキやさんは素通りして巡回バスに乗った。が、時間帯が悪く、急行の待ち合わせとか特急の通過待ちとかで時間がかかり、結局歩いて駅まで行くのとあまり所要時間の変わらないことになってしまった。
それにしても街路樹の公孫樹の美しいこと。今年はいつまでも暖かくて葉が落ちきらないでいたのを、12月の声を聞くやぐっと冷え込んできたので、このように鮮やかに紅葉したのだろうか。午後の角度の低い日差しを浴びて、はらはら、はらはら、と舞い落ちている。葉が枝を離れるその瞬間は誰が決めるのだろう。
帰宅してからご飯をかきこみ、大車輪で部屋を片付け、お道具を…と、しているとマダム到着。定刻10分前。お茶を出して最近買った着物の本をお見せする。長くこの業界で仕事をしてきたマダムはこの本の執筆陣のほとんどの人と面識があるらしく、マダムお喜びで話が弾む。
あちこち掃除が行き届いていないのはいつものことなのだが、初冬の日差しは窓ガラスの汚れを目立たせるのだな。私が長じゅばんを羽織る間に、マダムが窓越しに見える街路樹を鑑賞していて、決まりの悪い思いをする。
箪笥の中のものをどんどん着ましょうというマダムの意見で、空色の紬に青っぽい紅型の帯を合わせて着てみる。母の箪笥から持ってきた古い染みだらけの絞りの帯揚げがクリーニングから戻っていたので早速それをあわせてみる。全面にある細かい染みはクリーニングでは落ちなかったそうだが、表に見えるのはほんの少しだから気にしないでどんどん使うべしとのこと。絞りがとれてもいいのできれいにして下さいと伝えてあったのだが、絞りもきれいに残っていた。帯揚げは少ししか持っていないので、数のうちと思って甦ってよかった。短めで幅も狭いので、却って扱いやすい。今日締めてみた紅型の帯はかなり短めなので、扱いにはちょっと工夫が必要のよう。
前回よりも更にスムーズに進み、マダムもご機嫌だったので、お稽古の後に箪笥の中身を少し見ていただく。母の娘時代の銘仙やお召しなどがあるのだが、それにあわせるには普段使っている長襦袢では袖の長さが合わない。マダムと一緒に発掘して、半襟の付け替えや袖の始末など指示していただく。それにしても昔の長じゅばんの華やかなこと。マダムによると、やはり母の着物はデザインが古いらしい。古臭いと見るかレトロと見るかだが、着物の移り変わりがあるというのは考えてみればあたりまえ。ちょっとした衣装史の一端を見る思いがする。
年内はもう一度お稽古があって、後は月1回ぐらいのペースで見ましょうか、という話になる。そのぐらいのペースで季節ごといろいろ学ぶことができればこちらもありがたい。お正月は着物だ。

NHK出版編『一人で着るデイリー着物―基本の着付けと帯結び (別冊NHKおしゃれ工房) 』日本放送出版協会,2002.


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