sex・riddim・identity.
seria
MAIL
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2004年09月14日(火) ■ |
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キミの心に残らないように。 |
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横浜の事務所に立ち寄った後、 各停の電車で一駅のところにある 君の家の近くに言った。
火曜日がキミの休みだってことは知っていた。
奥さんが仕事だってことも。
しばらく電話していなかった キミの電話に電話する。
コールひとつ重ねるごとに 緊張が高まっていくことがわかった。
「もしもし?」
「どうしたの?」
久しぶりに聞くキミの声に 少しだけ懐かしさを覚えた。
「今、横浜の事務所の帰りで近くにいるんだけど 今時間ある?」
「うん。今ちょうどseriaも帰ってきたところだよ。 いっしょにご飯でも食いに行こうか。」
「時間がないから顔だけ見て帰るよ。」
「わかった。じゃあ今行くから」
そういって五分でキミの姿が見えた。
あと、あたしに良く似た小さな女の子も。
「火曜日に狙ってくるのは作戦か?」
そういって笑って握手をした。
seriaはあたしの顔を見上げ笑った。
「お姉ちゃん、前に駅であった人だ。」
覚えててくれるなんて思わなかった。
たった一日のたった三時間にも満たない出来事を 覚えててくれるなんて思わなかった。
「お父さん、seriaアレ持ってくる。鍵かして。」
そういって小さな女の子が鍵を握り締めて 走っていった。
「子供の記憶は怖いな」
「そうだね。」
「元気か?」
「元気だよ。全てが順調で 怖いくらい。」
「そうか。俺も順調だ。」
「全てが順調なの。恋をしてて、夢があって。」
「そうか。」
seriaは戻ってくるとあたしが前にあげた ティディベアを握り締めていた。
「これ、お姉ちゃんがくれたんだよね? seriaずっと大切にしてたの。」
涙が止まらなかった。
幸せだった。
こんなにも彼女の記憶に残ることが出来て。
最高に幸せだった。
公園で30分ほど遊んで あたしが帰ろうとすると 前と同じように seriaが泣き始めた。
前は出来なかったけど 今回は強く、強く抱きしめてあげることが出来た。
小さな体を ぎゅっと包んであげれた。
振り返らずに そのまま駅まで歩いた。
前と同じように 涙が止まらなかった。
電車に乗ってる間中 泣いていた。
幸せな涙だった。
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