囁き
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予備校の休み時間(詳しくは、授業と授業の間)、いつも外に出る。その日も、煙草すって、少しの音楽を聞くことしか出来ないくらいの短い時間だけど、僕はその時間がなにより好きだ。持っているMDの中からなんの音楽を聴こうかなんて考えながら、自動ドアをくぐって外に出た。
足が思わず止まった。空は薄い赤紫。
美しさに一瞬、動くことすらも出来なかった。それでも邪魔だから、空を見ながらいつもの場所に行き、腰を下ろした。尾崎さんのMDを入れ、再生。耳から流れる大音量の『太陽の破片』を聴きながら、ふと腕を見た。腕は、見たこともない色に染まっていた。天が示す僅かな時間しか指し示さない色に、僕の身体も、人も、この街も染められていた。 それも、たった一瞬の時間でしかなかった。けど、その色は胸に焼き付き、今でも明快に思い出せる。逢魔が時と呼ばれる時間。それに気がついた。本当に一瞬でしかない時間。確かに魔に逢うかもしれない。蹴れど、その光を見れるなら・・・そう考えなくもない。その空間にすいこまれるというのも、頷けなくもない。僕自身、もしそうなら、吸い込まれた先にずっとあの光があるのなら・・・などと考え、苦笑した。 自然の力なのだろう。けれど、その光はこの横浜にとても映えて映っているように見えた。僕だけが思っているのかもしれないし、それ以上に綺麗に見える場所だってあるだろう。きっと、海の見える場所、山下公園や、皆との見える丘公園なんかだと、もっと美しく見えるだろう。そう考え、嬉しくなった。そして、一瞬たりとも僕も、その光の中に共有していたという事が・・・
この横浜の街が、また好きになった。
『君を守りたい 悲しみこぼれぬよう 哀れみが 今 希望のうちに生まれるよう もし君が暗闇に 光を求めるなら 御覧 僕を 太陽の破片が頬を伝う 昨夜眠れずに・・・ 昨夜眠れずに・・・ 尾崎 豊 太陽の破片』
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