ユキマークブック。...ゆき

 

 

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彼を悼む。 - 2002年05月25日(土)

熱のなか、
さびしくなってかけた友人への電話。
日付を変わった頃にコールバック。

ぐらぐらと、世界が揺れるような
水泡が体の周囲から浮かび上がるような
そんな状態で彼の死を聞いた。

あんな演技の出来る人は他にいないのに
なんと惜しいこと。

秋にある舞台に彼が出るから行こうと思っていた。
その話をしたら
彼女もそう言った。
あいも変わらず趣味が同じだ。

彼だけが目当てで観に行くほどではない。
でも、彼が出ているなら観ようと
ドラマでも舞台でもそういう気にさせる俳優だった。

彼が同じ役で出ていたドラマの続編が
今度の夏に決まっている。
代役など考えなくていい。
出向していることにでも
左遷されたことにでも
いっそ死んでしまったことにでもしてくれていい。
どうか無理矢理彼の代りに
イメージもなにもそぐわない俳優を立てて
違和感のつきまとうドラマにはしないで欲しい。

つまらないドラマなら尚更。
おもしろいドラマであってさえも。
その違和感は小さな棘のように
あとになるとその違和感しか印象に残らなくなる。

いるはずだった彼を惜しんで
わたしたちはドラマを観るだろう。
舞台を観るだろう。
そしてあるべき名のないクレジットに
彼の名を刻んで劇場を去るだろう。




...

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