ひぽこんコラム

2004年12月09日(木) やりたいこと?

 SPA!の特集に「やりたいことがわからない」症候群ってのがありました。今や日本中これに侵されているらしい。本当か?
 やりたいことねぇ…。私は一年中それこそもうやりたいことだらけの欲望まみれのオババなので、その、やりたいことがわからないってのが全くもってわからないのだが、しか〜し。やりたいことがあってもそのほとんどは実現せず!いつもアタフタアタフタ焦りまくりで、失敗し、頓挫し、そのたびにグジグジ泣き、自己嫌悪し、しかしまたムクムクと芽生えて来るやりたいことに向かって性懲りもなく走り出す!という人生続けて39年!ってわけで。
 う〜む。文字にしても大変そうだが、実際はもっと大変でした(笑)。たとえばここで宣伝してる本ですが、とある出版社が出しますと言って、ゲラまであがってくる直前に「やっぱり出しません。だってこの文章てんでダメです。下品です。最悪です」みたいなのをメールで、しかも担当編集者本人の文章でもなく、その人が見せた営業の人の知り合い…なんて考えられない関係ない人のメールの転送文章で送りつけられ、それ1本でサヨナラされたのでした。和田は元々その編集さんのことをこの業界で1番信用していたので(だってその編集さんに最初に仕事をもらってこの仕事を始めたんだもん)その、下品呼ばわれしたこともショックだったけど、信用していた人にそういう形でサヨナラされたことがものすごおおおおおおおおおおおおおおくショックで、そのときばかりはマジにペッコンペッコンにへこんで、電車に飛び込んじゃおう計画を思いついて新宿をブ〜ラブラしておりました。かなりマジでした。しか〜し。その少し前に死んじゃった友達が棺に入ってた姿を思い出してさ。ああ、死んじゃうと「無」だよなぁ〜と思い出して止めました。その友達は死んじゃった姿で和田に教えてくれたことは、死は無以外のナニモノでもないってことだったのでした。
 そしてその後、今や「R25」でブイブイ言わせてる編集Fが「なら自費でだしちゃおうぜ」などと言ってくれて、デザインに携わってくれていたみみ子嬢も「ギャラなんていいですよ〜〜」なんて天使のようなことを言ってくれたりして。和田は本を作ったのでした。そして売り歩き始めてからもいい人たちの善意に支えられ、思わぬ出会いをたくさんして、「元は取った!」とハハハハ高笑い(←押し売りしたくせに)。いや、その中でももちろん飛び込み営業に行った本屋でシカトを山ほどされ、本を投げ返されたり。ファインドザリバー@REM聴いて泣きながら帰ったこと100回でしたが。
 そんなこんなで。やりたいことをやるのは色々あります。きっといまどきそれを探している人は「すぐ。手軽に。パパッと。うまいことやって。お金もガッポリ。苦労もせず。努力もせず。涙も流さず。焦らず。あがかず。へこまず」できるやりたいことを探しているのでは?と思ってしまったりします。勝手な億足ですが。やりたいことなんてそうそう出来ません。それがパパッと出来る人は、すごい推進力のある、そして自信のあるすごいすごい人…世の中のほんの一部です。そしてその人達も見えないところですごい努力してるのかも。
 それから思うに。別にやりたいことがなくったっていいじゃん!です。日本ってそういう価値観があまりまだ許されてないのかな?ただ毎日を漠然と生きて、代わり映えのない仕事して、でも帰ってきたらブラブラ散歩して、キレイな夕陽や星空を眺めて涙を流す…みたいな人生はダメなのだろうか?別に空も眺めなくてもいい。やりたいことはないけど、テレビ見て大笑いして幸せ!だっていいじゃん。何も人は誰もエゴを抱えて、それを表現する必要なんてないんだから、さ。日本中今はあまりにも必死!って気もする。いや、表面はそう見えなくても。心の奥でさ。
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