日々日記
いちらんふるいあたらしい


2008年11月19日(水) 雪が降ったら六本木ヒルズへ

雪が降る日は六本木ヒルズへ行く。
この衝動がアディクションなのかホビーなのか、はっきりしないけど、

天気予報で「明日は終日雪が降ります」なんて言われると心がざわめき、落ち着かなくなる。


翌日朝起きて予報通り雪だったら、電車が動いていたら都心へ向かう。
帰りの中央線が止まってもいい。
鈍色の空から絶え間なく雪が降る中を、何かに吸い寄せられるように移動する。


目的地は東京シティビュー。

好きな音楽と、好きな本と、カメラをお供に、
そこで日がな一日、または半日、降っている雪をじっと眺める。


高いところが大好きであちこち登るけれど、
居心地の良さでは東京シティビューが今のところ一番気に入っている。

360度ぐるりとまわれるところもいい。
立って移動しながら、座ってじっとして、疲れたらちょっと眠って、
そんな調子でずっと降っている雪を眺める。

お腹が空いたら軽食もとれるし、喉を心を潤すコーヒーもウォッカもある。


そういえばこのビルには文化や芸術を愛する人々が集うという、
会員制のクラブがあったなぁとか思ったりする。

そういう世界とはかすりもしないけど、そういう世界も確かにあるなぁと思いながら見る。



降っている雪を見るのはとても面白い。

空は低くてもし夏なら頭痛がしそうな気配だし、
雲の色はどこを見てもモノクロで、変化と言えば濃淡のグラデーションくらい。

その雲から、無数の雪が落ちてくる。

雪の色は白いかというとそうでもなく、見上げる頭上の雪は灰色をしていて、
なんだかゴミか虫の大群みたいだ。


そして風向きによってあっちのほうへ、こっちのほうへ、向きを変える。

まっすぐ降ったり、斜めになったり、真横になったりする。



次から次へと、雪ははるか頭上から絶え間なく降りて来て、
はるか下へと落ちてゆく。

どうも自分はこの一連の「動き」が好きなのだ。
この動きを見るためだけに、六本木ヒルズへ来ていると言っても過言ではない。

動きを見ている間、頭の中でずっと
「チッ チッ チッ チッ チッ チッ チッ」という音のないリズムが刻まれている。

そのリズムがたまらなく心地いい。
周囲にはたくさん人がいるけれど、その時自分の意識の中には自分と窓の外の世界しかない。


地上で見ていると雪はすぐに着地し、「動き」はそこで止まってしまうので、
このリズムは生まれない。

リズムを感じ始めると、やがて自分の身体の内側に、自分という意識の存在を感じ始める。
ぼんやり外を眺めているだけだど、何かがどんどんどんどん研ぎ澄まされていく。



一体この行動はなんなんだろう?と思うんだけど、
たぶん、1人になりに行っているのかもなぁと思った。


今年も雪が降ったら六本木ヒルズへ行く。
電車が止まったら、どこかに泊まればいいんだし。
それが当然て顔をして。


inu-chan