日々日記
いちらん…ふるい…あたらしい
彼を連れに行ったとき。 同じような大きさのきょうだいと一緒に転げて動き回っていた。 でももう、わたしにはどの茶色のかたまりが彼か見分けがついていた。
頭が大きくて、目が少しまだ青色がかっていて、 歩くとよちよちしていて、口のまわりの毛が黒くてドロボーみたいなのね。
そして、わたしに抱かれてもぜんぜんお母さんを恋しがらなかった。
抱きしめて匂いを嗅いだら、顔を舐めてくれた。 物怖じしない子。
「おまえは今日からうちの子だよー」
そう言って連れ帰ってから、10年たった。
この10年間というもの、彼はただ彼のまんまで私たちの近くに存在し続け、 毎日遊んで食べて出して眠るだけの日々を送っているんだけど、
それだけのことしかしない、あの茶色の小さなもこもこしたものが 我が家と私にもたらしてくれた喜びの大きさたるや、 当初の想像をはるかに超えていた。
「かわいい」ことが彼の仕事だとしたら、 わたしにとって、これほどいい仕事をしてくれる存在は他にはないだろう。
今、離れて暮らすのはすごくすごく寂しい。 たまに帰ると彼は大はしゃぎで迎えてくれて、その後は帰るまでくっついて離れない。 それはわたしも同じで。
寂しがりやの、人のいい顔をした、ドロボー顔の彼。
もうあと10年は生きてほしい。
大好きだよー。大事だよー。会いたいよー。
あと1週間で帰省だ。
inu-chan
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