日々日記
いちらんふるいあたらしい


2009年06月08日(月) さようなら、こむぎ。

10年くらい前にうちで生まれて伯母(母の姉)の家にもらわれていった子犬がいた。

ちょうど祖父の介護をしてくれていた叔父(母の弟)が自死したあとで、
伯母一家が祖父を迎え入れることになって、誰もがまだ落ち着かない頃だった。

伯母が何かでうちにきて、その時ちょうど生まれてすぐだった子犬たちがいたのだ。

段ボール箱の中で、ぴょんぴょん飛び跳ねる子、壁をよじ登る子、
そして、きょうだいに踏みつけられても気にしない子がいた。

その子は、ちょっとね、ぽーっとした感じの、クリーム色をした女の子。

伯母は元気な子たちに踏まれたその子が気になったという。
でもどうぶつが苦手だから飼う気は毛頭なかったらしい。


けど、犬を見ている時にふとうちの父が
「義姉さん、犬がおると家族(の心)が丸くなるぜ。」と言った。

ぼけてしまったとはいえ、子供の頃から関係がよくなかった父親を
引き取ることへの不安でいっぱいだった伯母は、その一言で子犬を飼うことにしたという。


そうして、ぽーっとした子犬は叔母の家にもらわれていって「こむぎ」になった。


こむぎのきょうだいたちは、血が濃いせいか半分くらいがアレルギーを抱えて生まれてきていて、
そしてこむぎ自身もいろんな病気やアレルギーを抱えていた。

しょっちゅう病院に行ったから、お金もいっぱいかかったと思う。
食が細くてすぐ飽きて食べなくなるから、いろんな食べ物を探して、工夫して食べさせてくれた。
それだって大変だったと思う。

それでも、家族みんなでうんとうんと可愛がってくれた。

たまに、私や母が会いに行くと、
覚えているのか、嬉しくておしっこをもらす所もかわいかった。


そのこむぎが、5月末に亡くなっていたことを今朝母から聞いた。
伯母は悲しくて、母に電話できるような状態じゃなかったらしい。

伯母の悲しみを思うと、こちらも胸が潰れそうになる。

こむたん。
こむぎ。
こむこむ。
名前を呼ぶと、あの愛らしい仕草が次々脳裏に蘇る。

10年間、伯母たちを喜ばせ、癒し、生き甲斐になってくれた。
それでも「たかが犬」だろうか。いいや、「すごいや犬!!」である。
うちに生まれてきてくれてありがとう。
人を元気にしてくれてありがとう。
愉快で、あたたかい時間をありがとう。

さようならこむぎ。悲しいなぁ。さようなら。


inu-chan