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熱血青春日記(癒し系)
ゆう
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2004年09月27日(月)
あんた邪魔。

今日はいよいよ仕込みの日。
舞台となる稽古場にイレクターをたて、客席を組み、暗転処理をし、装置をつくり、パネルに人形たてを付けて建てこみをし、平台を組み、けこみをし……などなど、とにかく色んなことをします。
そのため、今日は朝から大工仕事がほとんど。
自分たちは午前から授業があったのですが、イレクターを建てるのだけは人手が必要だったので、自分は彼女さんとともに昼休みを抜け出して稽古場へ顔をだしました。
イレクターは無事にたったのですが、シズを吊る段階になると彼女さんに先輩達がいちいち説明しながらやっていたので色々と手間取ってしまい、そろそろ授業に間に合わない時間になってもまだ吊り終わらない。
彼女さんは
「次は情報科学ですから、一回くらい休んでも平気です。代返頼みますから」
などと言って稽古場に残ることになりました。
「じゃあ自分も」
と言うと
『あんたは単位落とすから帰りな!』
とメンバー全員から全否定くらいました。ねえ、何この信頼度の差。
情報科学だべ? んなもんどうせ行ったって寝てるだけだからいいんだ、前期の情報処理演習は単位とれたんだから情報科学も楽勝だと言い張り、結局残りました。
もう単位落としたね、と憐れみの目で見られましたけど残りました。
絶対落とさんってのに。
でも、残ったところでイレクターが建ってしまえばほとんど仕事はない。
仕方がないので舞台上の掃除をしていると、彼女さんから、照明の吊りをするから紐を力いっぱい押さえててくれ、といわれました。
よしきたとばかりに行ったんですが、実はこの公演中に5キロ体重が落ちてました。
その上、最近はろくすっぽ筋トレもしていないし、この時点で熱が38度近くあったので、全然力がなくなってる。
下手すりゃ彼女さんの引っ張る力のほうが強いので押さえ込みの意味がまったくなく、
「あんたもう、稽古場の隅っこに行って寝てなさい!」
と押しやられてしまいました(笑)

仕方がないので虚しく掃除を再開すると、今度は舞台監督部から暗転処理に使うのでこの規格でダンボールを切ってくれ、との指示。
よしきたとばかりにダンボールを切り始めたのですが、なにしろこのカッターというやつは切れない。
ノコギリのようにシャコシャコ言わせながら地味に切っていると先輩がやってきて
「ねえ、ゆう君。カッターって何か知ってる?」
と訊かれました。
小学校は脱走していたから、そういえばカッターの正しい使い方なんて習ったことがなく、今まで自己流でした。
どうやらカッターというのはきちんと使えば結構切れるものらしいです。
先輩がやったら恐ろしく早く切れました。
よっしゃ、それがわかればこっちのもんだ! とばかりにまた切り始めるのですが、なぜかやり方は同じなのに切れない。
舞台監督のMさんが戻ってきて
「ねえ、切れた?」
と聞かれても、先輩が切ったところから3ミリくらいしか進まない。
「あー、もう! この男は不器用なんだから!」
とお叱りを受けつつ、今度はこう、力をこめてやればいいはずだと思ってやると切れすぎて自分まで切りそうになる。
別の先輩が飛んできて、また正しいカッターの使い方をレクチャーするも、この男には通じませんでした。
いつしか自分の周りに先輩が全員集まってくる。
「ねえ、みんなお父さんお母さんの目でゆうを見ているよ」
などと、訳のわからない励ましをうけつつ、ようやく切り終えました。

今度はもっと簡単な仕事をやると言われ、次の任務は客席組み。
席がズレないようにシズと呼ばれる、バカみたいに重たい錘を中に仕込む作業でした。
これをこの中に入れるだけだから簡単でしょ、と言われて始めたのですが、こいつがまた体力がない&筋力が落ちているものだから、熱は40度近くまで跳ね上がったし、シズも持ち上がらないし、だいたいがあの狭い口からシズ入らないし。
四苦八苦しつつもようやく一個入れたところでもう息も上がってるし、ご丁寧に指も挟んだし、汗もだらだらに流れてました。
それを見ていた先輩がまた飛んできて
「ねえ、あんた熱あるんだから、これは私がやるからこの幕を支えてて」
と、もっと簡単な任務にランクダウンしました(笑)
ところが、この幕というのがまたつかみにくい。
その上もう縛って固定してあるのでなかなか外れない。
「……ねえ、Kちゃん。一体どういう人生を歩いたらこんな不器用な人間ができるの?」
と先輩は泣いていました。




結局のところ、病人は舞台の隅っこに特設スペースを設けられ、そこで寝かされていたのです。