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熱血青春日記(癒し系)
ゆう
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2005年07月22日(金)
花束

犬の抜け殻は、いつも占領していたテレビの前に安置されている。
昨日は夜遅くにもかかわらず、近くに住んでいた親戚が駆けつけてくれ、自宅の庭で摘んできたのだという花束が備えられている。それがなければいつもの様に昼寝をしているように見えるのだが、花に囲まれているのを見ると、ああ、やっぱりもう戻ってこないんだな、と実感する。親戚一同に対して犬の病気を細かく説明しながら、そうなのだ、もう生きてはいないのだと、やっと理解する。

今日は試験なのだから大学に行かずにいるわけにもいかず、のそのそと準備を始めて試験開始の45分前には大学に到着。さすがに医大ともなると、普段はバカばっかりやっている友達連中も真剣な表情で、最後の追い込みをかけていました。
自分も友人に貰ったまとめノートを開いて、ぼそぼそとラインマーカーをなぞっていく。

いつもの様にFがやってきて、「ヒマなので邪魔しにきました」と言うのだが、今日に限ってこの女王さえも優しく感じる。普段ならそんな宣言せずに後ろから猛烈タックルとか飛び膝蹴りとかをかましてくる変態サド女だが、今日ばかりは隣に座ってノートを覗き見ているだけである。きっと彼女が大学の人々に話したんだろう。車の中で大泣きしたのは隠してくれたかなと思っていたのだが、彼女は誰にも話してはいないそうだ。
何か察したのかな、さすが心理専攻組は違うなと思っていたのだが、後から冷静に考えれば普段大学には医学を学びに来たのかお笑いをしにきたのか良くわからない感じで大騒ぎしている男がもの凄く沈んだ顔でどんよりしていたら、そりゃ誰だってわかるわな。


人という字は二本の棒が支えあって成り立っている。
ずいぶん前に冗談めかしてそう言うと、
あれは、自分の二本の足でしっかり一歩踏み出そうとしているところだよ
と教えてくれた人がいた。

そうなのだ。人に頼ってばかりはいられんなあ。
心理を専攻してから、皮肉なことに相談に乗ってもらうことのほうが多くなってしまった気がする。
明日、いつものコメディアンに戻るから。
今日は何だか泣きたい一日なのだ。