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2005年09月08日(木) ■ |
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男たちの叫び |
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ジェンダー論の二日目。今日もディスカッションは男女別に分かれて、各ライフステージによってジェンダー差はあるのか、ということについて議論。 この男女別、という先生の目論見はよろしくない。女子チームはいいかもしれないが、男軍団がんなことマジメにやるわけがない。 チーム分けは無作為に抽出された5名で行うのですが、何の偶然か自分のチームは色々な意味で心理組にその名をとどろかせる、悪名名高いメンバーばかりがそろう。 周りから「最強チーム」という称号を貰いました。
そんな最強軍団がディスカッションしても、そもそもまとまるわけがない。 「とりあえず発表はゆうでいんじゃね」的なノリで自分が行うことに決まったので、ほかのメンバーから意見を集め、日常生活の中で起こるジェンダー差ということについて考察していく方針にする。 じゃ、男女差ってどんなときにあるかテキトーに言いあうべ、とあーでもないこーでもない言っているうちに、ライフステージの学童期までやっと行った所で協議の時間が終了する(駄) あとはゆうがノリで、とメンバーは自由放任主義の立場を取ったので、ものすごアドリブで超適当な理論を紙に書き付けていざ本番と相成る。
スライドもパワーポイントで急遽作ったのであまり洗練されてはないんですが、タイトルは 『ライフステージを考える 〜男たちの叫び〜』 になりました。この時点でおまえら単位取る気があるのか的雰囲気を醸し出しているところがミソ。
「はい、では4班の発表を始めさせていただきます。我々は各ライフステージごとに社会学的な性差が存在するのかという問題について、日常生活の中から実例を挙げ、その問題点を個別に考察していくことにしました。早速ですが、次のスライドをご覧ください。まずはこの世に生を受けたとき。男女の違いによって服やベビー用品等の柄が分けられていますが、生物学的に考えれば男女で柄を分ける理由はどこにもないのです。例えば色で言えば男子が青などの寒色系、女子は赤やピンク等の暖色系ですし、柄も男子であればアンパンマン、女子はキティちゃんなどと分けられています。このように生まれた時点から、周りの人間の社会学的な性差に基づく環境統制が本人の意思に関係なく行われていくことにより、男子、女子ともにその性別に期待される役割を身につけられるようにと訓練されていくものと考えられます。」
と、ここまでは比較的まとも。
「しかし、それはそれでいいのでしょうか。もしかしたら赤ちゃんは、「オレはキティちゃんが好きなんだ!」と訴えているのかもしれない。この時点から、個性を否定し、集団の中に埋没させんとする日本の悪しき教育が始まっているのではないか。なぜ、男はアンパンマンと決められているのか! 色や柄の好みは性別ではなく、個体差だ! 個性を尊重すべきだ!」
と、だんだん言っていることがラリってきます。
「学童期に入ると、男子は外で遊び、女子は屋内での遊びと次第に男女が明確に分かれてきます。しかし! 雨の日など、外で遊べないときにはどうしても男子も屋内に入らざるを得ない。こんなとき、廊下でボール遊びなんかして間違って女子に当たったりすると、ケンカになるわけです。だが、ここで問題が生じるわけです。なぜか日本教育は伝統的に、ケンカは男子が悪いという決め付けがある。ケンカの理由は二の次に、まずは男は女子をいじめるなと刷り込まれていくわけです。これは男女差別以外の何者でもない。小学生時分は明らかに女子のほうがデカくて強い! これは正当防衛なのだ!!」
と、こぶしも入ってきまして、
「昔は技術という科目は男子のみ、家庭という科目は女子のみが受けるとされてきました。これは近年改正され、今では男女差なく両方の科目を生活一般として履修しています。これはいい。しかし、体育の時間では学校によって男子は柔道、女子は新体操といった差別が起こってきます。みなさん、よく考えてください。男がブン投げられたり首絞められたりして、それこそ命がけで授業を受けている間、女子はダンスなんていう粋なことをしてキャピキャピ楽しんでいるわけです。これは倫理的に許される問題なのか!」
と、教育委員会に恨みがあるかのような演説をし、
「体育前後の着替えもそうだ! 女子は専用の更衣室が用意されるのに対し、男子はなぜか教室で着替えろなどといわれる。男なら裸を見られてもいいのか! 女子には男の裸をみる権利があるというのか! これは、男子に対する冒涜だ! 社会生活に移行した場合も同じことが言えます。男子風呂や男子トイレには、なぜか決まっておばちゃんが掃除に来る。これはなぜか! 女子のほうにおじさんが入っていくことはない。それなのに、男子のほうには、男同士が裸で語らういわば聖域に、堂々とおばちゃんというストレンジャーが侵入してくるのであります。これに対し我々男子は断固として反対し、男子の権利を主張するとともに、我々の最後の砦、男子トイレと男子風呂を守るべきである!」
と、しまいには女子に対して宣戦布告をしてみたり、
「男子に対する偏見はまだある。例えば、女子が男の服を着たとき。これは周りから「ボーイッシュだね」などと評価される。だが逆はどうか。男が女の服を着たとき、これは明らかに批判の対象である。場合によっては反社会的な行動として排除されるシステムまでもが社会の中に形成されているのである。これは許されることなのか。オレにもスカートはかせろと!」
と、もう何を主張したいんだかよくわからない発表をしました。最後の主張は正しくない(美意識の生物学的性差)んですけど、そこはノリで(笑) 正直学童期までが話し合った内容なので、それ以降はその場の思いつきで、女の不倫は法律上不貞行為に該当するが男子に同法の適用はないとか、育児には女性のほうが積極的に関わるということについての研究論文だとか、急にマジメな話をして、最後のまとめとしては、ジェンダー論=女性論になってはいないだろうか、女性の権利が見直されてきた現状があるが、男性の権利をないがしろにすることがジェンダーフリーといえるのかどうか、男性の立場から考察させていただいたともっともらしくゴマかしておきました(駄)
発表が終わるとコメンテータからの質疑応答があります。 我々の班にコメントするのは誰かなと思ってちらっと視線をやると、僕の彼女( ̄Д ̄;) 「えーっと、ゆうさんは、スカートがはきたいんですか……?」 とものすごく控えめに質問してきました。そんな彼女に「男の浪漫です」と答える彼氏。うんざりする彼女(駄) もうどうでもよくなったので「まずは我が医大でスカートをはく男たちの同盟を作るべきでしょう」などとべらぼうなことを言いまくりました。嫌な医大ができるぞ。 ちょうど我々の発表の後、10分間の休憩時間が取られました。 男子トイレに行ったらその場の全員から英雄扱いされました(笑) 自分の席に戻ると、同じく戻ってきた彼女からは 「女の子にいじめられるあなたの日ごろの恨みがこもった演説ね」 と評価され、F女王からは 「あんた政治家になるべきよ」 と色々。
一番気になるのは教授様の評価です。他の班がすごいマジメな発表をしてる(当たり前)から殺されるんじゃねえかと今更ドキドキする不届きモノだったのですが、最後のまとめのところで教授が開口一番。 「今日の発表で一番よかったのは6班。その次が4班です。4班は独自の切り口で大変に素晴らしい発表でしたね」 と何やら褒められる(^^; ほかの班が女性の権利をどうのこうのと言うなかで一つだけ男性のほうに焦点を当てたということと、ジェンダー論=女性論の指摘が高評価だったらしい。思いついてよかった(駄) 授業が終わった後、教授が自分のところに来て、 「スカート同盟、私も応援しますから頑張ってください」 とやたら激励される。一体僕は何をしに大学に来ているのか。
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