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熱血青春日記(癒し系)
ゆう
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2005年11月17日(木)
乳幼児発達検査

 関西人の血なんか一滴も入っていないはずなのに、なぜだか一つの話に一つの笑いを入れたがるこの習性。日常がボケとツッコミなので、特に狙おうと思っていない自然な行動でも笑われることもあって少々不服なのですが。基本的にマジメなんだけどな。おかしいな。

 用事があって大学にスーツで行ったのですが、自分の着ているコートは、踊る大走査線の青島刑事が着ている緑のコートに良く似ているのです。
 それを見て友達が
「お、青島」
 と言うので
「事件は現場で起きてるんだ!」
 と返すとやたらに笑われる。特にボケたつもりではないんだけどと本人は思っている。しばらくその話で盛り上がっていたんですが、なんか青島って刺されたよね、という話になり、一人がそのシーンを再現して僕を包丁で刺す真似をしてきたので、振り返ったら実は西村雅彦ね、とボケるとやたらウケる。平和な人たちだ。

 注※ 「振り返れば奴がいる」というドラマで、織田裕二が西村雅彦に刺されるシーンがある。非常にマニアックな話ですみません。

 でも、真面目な話、自分大学入ってからものすごく大人しくなったなあ。この間高校時代の日記を読み返してみたんですよ。いや、あの頃の輝きはいずこへって感じですよ。相変わらず大学の友人にも「芸人ゆう」の称号をいただいたんですけれども、高校時代に比べたら笑いがユルいな。あかんあかん、気を引き締めていかないと。


 本題。今日は朝の8時に大学に集合。遠い人は大変ですな。なぜそんな時間に大学に集合かというと、今日は施設に実習に行く日なんですな。自分のいく施設は保育園。子供と戯れてきます。
 でも、保育園に行くんだから子供と遊べばいいかと言えばそうではなく、実は乳幼児の発達指数検査というものをやりにいくことになっています。大学の実験室でやるわけではなく、器具を持っていくわけでもないので、実際のところ、一緒に遊びながら行動観察をして診断を下すんですがね。データが数値で出てくるわけじゃないからレポートが書きづらいったらありゃしない。

 自分の担当は0歳〜1歳児。5歳くらいなら似たようなのが塾にもいるから慣れているんだけど、赤ちゃんは正直見たことすらないな。兄弟姉妹がいるわけでもないし。
 大丈夫かなあと思いながらも、まずは殺菌消毒して、その赤ちゃんたちがいる部屋へと案内されていきました。自分のほか、男子が2人と女子が1人。
 部屋に入ると、まずは速攻女子が溶け込みました。さっそく子供の輪の中にはいって遊んでいます。やっぱり女子の力って言うのは偉大なんだなあ、と男三人は壁際にへばりついて成すすべなく見ていると、「ミルクやってみる?」と保母さんの一人がおっしゃる。ミルクっすか。
 犬なら手馴れてるんだけどな、と思いながら赤ちゃんを抱き、哺乳瓶を口に当てる。おお、すげえ飲んだ。しかも、わりと勢い良く飲むなあ。むせたりしないのかこいつ、とハラハラしながら見ていると、案の定一気飲みし過ぎて誤嚥する。泣いて、人間ではありえない方向へぐにゃぐにゃ曲がるので、うおお、どうすんだこれ、とりあえず背骨側に思いっきり反ってるから元に戻さんと、このまま折れ曲がって死ぬんじゃねえかと思って、逆方向に折りたたもうとがんばっていると、保母さんがやってきて、こうすればいいのよ、とその子をなだめる。魔法でもかかったみたいに一瞬で泣き止みました。すげえ、どうなってるんだこいつ。どこにそんなスイッチが(違)

 とりあえず嚥下障害だのはなさそうだな、と心のメモ帳にしっかりチェックして、食事を終えた後は少し遊んでからお昼寝タイム。しばらく抱っこしていると安心したのか、うつろうつろしてきたので、色々体中突っついたりして原始反射の有無を調べてました(酷)
 バビンスキー兆候が陽性で、ものすごいおもしろい。神経内科の教科書で見たやつってこれか、と一人でウケてました。本人もむずかってますが機嫌がよさそうなので、まあいいんでないか。
 そんなことをしていると、そろそろお昼寝の時間。布団を敷いてその上に乗っけると、あっけないほどすぐに寝る。バッテリー切れたロボットみたいだな。
 割と年上の子は寝ないので、他に獲物はいるかと見渡せば、他の男子2人もなかなかうまいことやっている。子供ってのは、こっちから行かないと向こうからは警戒して近づいてこないもので(丁度人見知りの開始時期)、自分はあんまり人に積極的に話し掛けたりしないんですよ。話しかけやすいオーラがあるらしく、いつも人から話し掛けられるから喋っているけど、遠くから見てたって子供とは仲良くならないしな。
 とりあえず暇そうな子に近づいていってみると、彼は何の恨みがあるのか、ひたすらアンパンマンの虐待をしている。聴診器のおもちゃがあったので、アンパンマン痛がってるしょ、もしもししましょ、と手渡すと、
「こりゃ良い武器やのお、あんちゃん」
と言って(僕の脳内で)、やたらそれでぶん殴り始める。これは止めるべきなのか。
 アンパンマンを手にとって、「あ、あ、あべしーーーーー」
 とか言ってると、大学生にはバカウケだけど、子供はまったく無反応。おもしろくなかったか。
 まあ、あとから良く考えたら、言葉がまだわかってないんだからウケるわけないんだけど(駄)
 その後もあきらめず、同じ学部のS籐くんとタッグを組んでお笑いネタの数々を披露しましたが、あえなく撃沈。

 いったん休憩に入って、教授のところへ行き、途中経過の報告。他の男子二人とだべってたんですが、K田はなかなかうまくやっている。いや、歳の離れた弟いたからさ、と言われて、なるほどなあ、いいパパになるよ、とかなんとか言ってちゃかす。
 問題なのは言葉も分からない乳幼児の前で漫才を披露しているゆうという馬鹿者と、いい人なんだけど、いかんせん顔がめっちゃ怖いS籐くん。休憩終わったら癒し系でいくべ、と誓い合って、いざ戦場へ。

 部屋に戻ると、幼児たちが一斉にこっちを見る。おもろいなこいつら。
 大半の人々は保母さんの持ってきたビニール製の簡易トンネルで遊んでました。
 おお、これすげえなと興味を持ったゆう少年は、検査そっちのけで早速自分もくぐってみることに(駄)
 中はあんがい広くていい感じ。これおもしれえと思っていたら、向こう側からきた少女と鉢合わせする。
 女の子がやたら嬉しそうに迫ってくるので、やべやべと思ってバックすると、いよいよキャッキャと笑い声を立てて追っかけはじめる。
 そうか、同じ目線に立てばいいのか。小児科だの、発達心理だのやってても実際は違うなやっぱ。
 それがわかってからは、S籐くんと一緒にイナイイナイバーをしてあげたり、(バーの時、めっちゃ変な顔したら衝撃的な顔で見られた笑 これも検査項目にいれとこ)、アフロヘアーのカツラかぶせて爆笑したりしてました。かぶせられた女の子が、自分の頭にもアフロかぶせてきたんですが、あまりに違和感がなさ過ぎて、大人も子供も「ああ……」って感じでした。なんだよ。
 一番おもしろかったのが、教授が様子を見に来たとき。さすが、小児科の先生って人気なのね。入ってきたとたんに子供たちが好奇の目を向ける。みんな、おじいちゃんの髭が気になるのだ。そんななか、自分と遊んでいた男の子が教授を見て
「まま!」
 と叫ぶ。ママて。
「ママ違うよ。おじいちゃんでしょ」
 と諭しても、ううん、まま! と教授指差して叫び続けている。
 おまえの母ちゃんどんなんや。


 で、ものすごく楽しかった時間があっという間に終わって、大学まで帰る。
 帰りのバスを待っている間、同じ施設でしたが5歳児クラスにいた彼女がやってきて、楽しかったと笑っている。
 0歳児ってどうだったの、と彼女が訊いて来るので、S籐くんと顔を見合わせたあと
「なすすべねえよな」
「俺たちにゃ手におえねえ」
 と互いの健闘を称え合う。子供とじゃなくて、S籐くんと一気に仲良くなりました。
 何してたのあんたたち、と彼女が苦笑するので
「そりゃお前チッチキチーやな」
「そんなやつおれへんがな」
 と教えてやると、わかるわけないじゃない、と呆れ顔。
 腹が立ったので雪を背中に突っ込むと、冷たい冷たいと言って、さっきの子供みたいにめっちゃ背骨側にのけぞっている。彼女は体が異様にやわいのだ。
 それを見て、「こういうときは縦に抱いて背中ぽんぽんやると治るんだよ」とさっき得た知識を実践すると、キレて追っかけてきました。
 こんなところにも赤ちゃんが、と教授があきれる。