詩のような 世界

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2002年02月21日(木)



呼び出し音が鳴り響く

空気の糸が微かに震えている

受話器を取る手に力が入らない

「モシモシ…」



もしもし聞こえますか

助けて欲しいんです

もう痛くて痛くてたまらない

叫び出しそうなんです

この錆びた指は使い物にならないし

胸の中には涙すら流れません

人はなぜあんなにも強いのでしょう

1度希望を失っても

いずれは他の新しい泉を見つける
 
過去は去ったものとして

見切りをつけて歩いてゆく

でも僕はそうじゃない

過去から始まるのです

だとしたら僕は何者なのでしょう

どうしようもない出来損ないですか

救いをいくら求めても

自分から踏み潰してしまうような

そんな生き方しか知らないのです

もしもし聞こえますか

どうか返事をしてください

お願いだから

貴方さえも僕を見てはくれないの?



静かに受話器を置いた

聞き覚えのあるか細い声に

応えることはできそうもない







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