詩のような 世界
目次|←|→
どこからか1枚のハガキが届きました
裏は写真でした どこまでも広い野原 低い空に絵のようにはっきりとした虹が 掛かっています まるでおとぎの国のようです そこには「幸福」だけが存在していました 原っぱで花を摘んだり 追いかけっこをしている子供たちも その幸せのエネルギーを身体に持っているので 誰にも負けない笑顔をしています
僕は、いいなあと思いました きっとそこには行けないだろうな、とも
でもふと考え直してみました 行ける、と念じてみたらどうだろう 起こってもいないことを諦めるのはどうだろう 最初から不安でいたら それはすでに失敗した気分を味わっていることになる
行ける、 行きたいから僕は行ける 行ける 行ける 行ける 行ける いける いけル いけルい ケル イケルイケル そこに 僕は 行く んだ っ っっ
虹を見上げる僕を無我夢中で想像した…
あっけないほど簡単に 僕はハガキの世界の住人になりました いつの間にか僕の左手は小さな手とつながっており 右手には野花が溢れています
僕は今まで知らなかった世界を知り そのハガキの送り主は僕自身だったのだと やっとわかったのでした
|