詩のような 世界
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夕焼け空の一部から
煙がもうもうと噴き出している
それを市内巡回バスの窓から見つめる僕
遠すぎて火傷することもできない
だから意識だけ飛ばしたんだ
薄灰色の煙に手を伸ばすと
意外にも、いや、予想通り
仔猫の体温を感じた
そっと泣くように胸に抱いた
浮遊しているせいで
少しだけ懐かしい気持ちになる
僕の恋人(猫)は行ってしまった
好き、ならわかるのに
愛してる、が実感できない
いつも眠っているうちに去ってしまうんだ
エメラルドグリーンに塗られたバスを見下ろす僕
近すぎて視界から外すことさえ困難
0℃の火柱にしがみつきながら
僕は笑えるのだろうか?
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